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継がれし母の力〈前編〉
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それぞれの心情





「美味しかったぁ〜」
 お祖父ちゃんのサンドウィッチは最高だね! そんな事を思いつつ、やっと食べれた昼食を終え、私は軽く伸びをした。
 私が今いる場所はアスカート剣術道場。ここは私の家と診療所の右隣に建っている。更に右にはアルベルが昔住んでいた、今では空き家となっているアスカート家がある。
 この道場は「アスカート」と言う名の通り、アスカート家の建物で、数年前はアルベルのお父さん――アステルさんが、この道場の師範をしていた。
 五年前にアステルさんが亡くなり、今では元々ここの師範で、アステルさんやアルベルの御師匠のマクウェルさんが、再びこの道場の師範をしている。


 道場で飲み食いは厳禁だけど……良いよね? 一応此処、外に居るみたいなもんだし。
 私は道場の裏口の扉で二、三段と階段になった場所に腰掛けている。裏口から見える景色には、道場の周りを木の板で囲った塀と、秋風にそよそよ揺れる木々が見える。午後の陽射しがぽかぽかと心地良い。
「ここで食べてたのか?」
「へっ?」
 ぽけらっとしていた事もあり、不意に聞こえた声に私は間抜た返事を返した。私はゆっくりと後ろを振り向いた。
「アルベル」と、私は言った。声の主――後ろに立っていた――はアルベルだった。彼は手に練習用の木刀と、何か紙袋を持っている。
「今の時間帯で帰ったら、お祖父ちゃん心配するから」
 真直ぐウォーカー家に戻ったアルベルに対し、私は途中別れ、道場に向かいお昼を食べた。
「そか」アルベルは言いながら頷いた。「そうだ、これ」
「何?」
 アルベルは隣に腰掛け、持っていた紙袋を私に渡した。紙袋からは何だかいい匂いがしてくる。

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あきゅろす。
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