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継がれし母の力〈前編〉
6

「私は貴方の母親に、貴方を助けて欲しいと、そう頼まれた」
 ――お母さんに? いったいどういう事……?
「気付かない?」
「……えっ」
「噂の魔力狩りで、最終的に誰が狙われているのか」
「……それは……」
 ――何が言いたいの?
 私は真直ぐルナリアを見つめた。鏡をかえすように彼女もまた、私を見つめている。冷めた瞳で。
 さっきから思うけど、本当にルナリアの瞳は冷たい。誰にでもこんな瞳をするのだろうか……?
 そんな事を考えていると、彼女の肩が一瞬ピクッと動いた。
「そろそろ良いか」ルナリアは静かに呟き、左手をスッと伸ばした。「こそこそと私を監視するなんて、本当気に喰わないわ」
「……へっ?」
 ルナリアは何かを感じ取るかのように目を細め、詠唱を始めた。伸ばした左手には淡い紫電の光が集まる。
「雷光よ、貫け。――ボルティック・スピア」
「ちょっ、何?
 ―――っ!」
 ルナリアの声と共に、バチバチッと音が響いた。その刹那、空には淡い一筋の光が走った。私は両手で耳を押さえるように頭を抱え、瞼をギュッと閉じた。
 瞼を閉じた瞬間、頭上では落雷の落ちる音がした。けれどその音は一瞬で、私はゆっくり瞼を開けた。
「…………?」
 静かに瞼を開けると、私の眼の前には電流を帯びた水の固まりが、スッと落ちてきた。それは鳥のような姿をしている。
「……何、これ……」
「これは水の具現魔術で創られた鳥、アクア・バードよ」
「……なんでこんな処に……」
 私はただ、ただアクア・バードを見つめていた。
 ――その時。
「リリス!」
 私の名を呼ぶ声が聞こえた。私達はその声が聞こえた方に視線を向けた。そこにはアルベルが立っていて、その表情は驚いているようで、視線の先はルナリアを睨んでいるようでもあった。
「……アルベル?」



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あきゅろす。
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