[携帯モード] [URL送信]

nvl・L
デイの涙


その夜、俺達は10時からシフトに入った。




いつもと同じように、業務を進めていく。

デイもいつもと変わらない様子だった。






次々と来店する客の相手をし、同時に他の業務を進める。




ふと時計を見ると深夜2時になっていた。



今は待機室で整理を行っているデイ。

俺は客が途切れたのを確認すると待機室に向かった。





静かに扉を開ける…。




すると、整理をしている手を止め、呆けているデイがいた。


何かを考えているような…

無表情だが、よく見ると片方の瞳から涙が一筋流れたのが分かった。





デイに近づく。





泥『………。あ、だ、旦那?』





ようやく俺に気付いたようだ。


俺は無言でデイに近付き、小さな体を抱き締める。





こんな小さな体は、色んなことを背負ってんだな。

ほっておけば直ぐに壊れてしまいそうだ。





泥『……だ…旦那…ごめんよ…。

色々…思い出しちまっただけだ…うん。

オイラは大丈夫だよ。』





蠍『お前の大丈夫は信用ならないな。

大丈夫って言いながら前に大火傷したのはどいつだ?』





泥『いや、大ってほどじゃなかっただろ。』





蠍『…ぐちぐちうるせーな。』





泥『だって、ほ……んんっ!?』







――――――チュ。






嘘つきな唇に俺は口付けて黙らせた。






蠍『…落ち着いたか?』





何が起こったのか分からずキョトンとするデイ。

まぁ落ち着くわけないか。正直一番焦ってんのは、俺だ。




……とうとうやっちまった…。







顔を真っ赤にして、我に返ったデイは『お…おぅ。』と答える。


相変わらずお前は嘘つきだな。






俺は真っ赤な顔がバレないように、『整理が終わったらこっち手伝え。』とだけ言い残し、待機室を後にした。









レジに立ち………




(どうしよう、まじでどうしよう。俺変態じゃねぇかー。)


項垂れる。





デイの弱った姿をみたら…どうしようもなくなって…つい、……い、嫌、遊びとか出来心って訳でもなくて!

真剣に……って……、真剣って何だ!それも駄目なんじゃないか?

だって、アイツ男だし!
俺はノーマルで男に興味なんてないし!






…………
『そのセリフはもう答えが出てるとしか思えない。』





ふと、昨日のイタチの言葉が心に響いた。





自身と格闘していると、扉のセンサーが反応した。







キンコーン―キンコーン――。





扉を見ると、昨日の女が立っていた。








第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!