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┗貰い物
やきもちやき? (BF←R/切→甘) ※黒春さまのサイトでキリ番を踏みかいてもらいました














「センパーイ」
「ん?どうした」
「お客さんですよーってかミーを助けろ」
「・・・は?」

フランに背を向けていたベルは、バッと振り返る。
フランの横に居たのは・・・
居るはずのない・・・

「・・・え?」
・・・あれ?
「しししっ元気にしてたかよ」
居るはずのない・・・ジル

「げ・・・ってかフランから離れろ」
さりげなくフランの腰に手を回しているジル。
殺気を出しながら言うも、ジルは手に力をより込める。

「うぅー・・放せ変態ー堕王子はセンパイだけで結構ですー」

「てんめっ・・・」

「ししっ結構な言われ様じゃねーか、ベル」

「「いや、お前もだろ」」

自分の事は棚に上げて話すジルにベルとフラン両方から息ぴったりの言葉を投げられた。


「ってか放せっつってんだろーセンパイの兄ー」

「ちょっΣ兄って何?!ジル様って呼べ」

「却下ー」

隣にいるのに、相変わらず毒舌のフラン。
そんなフランが少し憎くなったのか、ジルの手はフランの顎へ。


「ちょっとうるせーよ」

強引に上を向かせ顔を近づける。

「っ」

驚きと戸惑いでフランが静止する。
それを見計らったかのようにジルはフランにキスをした。



「「っっ!!?」」


ベルとフラン、両方とも驚きを隠せない。
少し開いたフランの口にジルが舌を入れた。

「んっ!・・んん、う・・・っはぁ」

すぐに口は離され、フランはキッとジルを睨んだ。

ベルはナイフを構え、投げた。
が、ひらりとかわされる。

「ちっ」

「ししっ当たるかよ」
次々と飛んでくるナイフを避け、窓からぱっと飛び、部屋から出て行った。


「じゃーな、フラン。また来るから。愛してるぜ」

という一言を残して。
残されたフランはただ呆然としていた。

開いた口が閉まらない。
「・・・」

ベルが自分の元にやって来るのが分かる。
何を言われるだろうか・・
けなされる?

慰め・・・はないか。
ナイフを刺されるかもしれない。

もしかしたら、捨てられるかも、と考えている最中にベルが言葉を発した。「・・・お前、無防備すぎ」

たった一言。

でも、イラついているのは確かで。
フランの肩はビクッと揺れた。

「何?あいつの方が良かった訳?」
「ご、めんなさい・・すいま、せん」

途切れ途切れ出てくる弱弱しい言葉は謝罪の言葉しかなくて。
俯いているフランは今にも泣きそうだった。

「淫乱ガエル」

そんなフランに鞭を打つかのようにベルは毒を吐く。

ベルは、怒っている。
自分でも、制御が出来ないほどに。

「っ!・・・センパイの・・馬鹿!」
自分だって、したくてした訳じゃない。

なのに・・・

そんな気持ちがフランの思考を埋め尽くす。
ベルを見ることなく、フランは自室へと走った。
ベルに会いたくないから。
残されたベルはただ、後悔しているだけだった。
フランが傷ついてるのは分かっていたくせに。
もっとフランを傷つけた、と。
そして数十秒後、ベルはフランを追うべく、走った。


ベルはフランの自室へと向かった。
鍵はかかっていない。

きぃ・・と、小さな音が鳴り、ドアが開く。
そっと足を踏み入れると、どうやらフランは洗面所のほうにいるようだ。
水音が聞こえる。
「ぅえっ・・っう・・」
泣いているのか、吐いているのか・・・。
苦しそうな声であるのに間違いはない。

「フラン」

微妙に開いているドアの隙間から声をかけるとフランの方が揺れる。

ずっと口をゆすいでいたのだろうか、隣に置かれているコップに並々と水が入れてある。

「何しに、来たんですか・・」

ふいっと顔を背け、小さな声で言う。
「ミーの事、嫌いになったんでしょー?ならほっといて下さいー」

寂しそうな口調で、ベルを突き放すフランを、後ろからそっと抱きしめる
ドアの外に居たはずのベルの体温がフランの背中に伝わる。

「嫌いになんか、なってねーよ。わりぃ、オレが言い過ぎた」

滅多に(というか確実に)ベルの口から聞けない謝罪の言葉がフランの耳に届く。
驚きを隠せず、声に現れる。

「ちょ、王子サマが何謝ってんですかー」

「ししっお前は王子の姫だろ。姫には謝ってやってもいーよ」

「なっ・・!誰が姫・・」「・・・大好き、フラン」
そっとフランに囁くと、フランは一気に静かになった。くるりとフランの身体を反転させる。
そして、静かに口を合わせる。

「・・んっ・・ふ・・」
フランから甘い声が漏れる。
暫くして、ベルが口を離すと、フランの息はあがっていた。
そんなフランにベルは小さな低目の声で耳打ちをする。

「・・・消毒。愛してるぜ、フラン」

かぁっと顔を赤く染めたフランがベルの方を振り向くと、ベルはいつも通り笑っていた。

「しししっ顔真っ赤だぜ?フラン♪」

フランがベルの胸に飛び込んだ。
ベルは少々驚いたようだが、受け止めてくれた。
別に、
ベルの事がいつも以上に好きと思えたとか
王子様っぽく見えたからとか
愛してくれてるっていう自覚が今まで以上に感じれたからとか

そういうわけじゃ、無い。
フランはそう思いながら、ベルを抱きしめる手に更に力を込めた。




〜〜おしまい〜〜



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