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春はうらら





この世で二番目に嫌いな季節、春。



「ヘックシュ!」

「あー、花粉症?きついねー。ま、ガンバ。」

「少しくらい労れよ…。」

「イヤ。だるいー。」



オレは隣でくしゃみをする奴に目もくれず、ベランダの手摺りに顎をのっけた。
いや、正確には腕だけど。

今日は記念?すべき入学式。
オレは1年生。
しかも、珍しい高校からの編入生。

……は?
入学式出ろ?
やだよ、めんどいし…。
ベランダから眺める桜のほうが乙だよ。
たまに吹く風もいいんだ。
何が楽しくて入学式なんかに出なきゃいけないのさ。
人の顔見て、わーきゃー騒ぐもなにもないでしょ?
あ、教頭のヅラがずれてたら面白いけど。



「なぁ…。」

「ん?」

「お前、なんてぇの?」

「先に言って、ダーリン。」

「だっ!?ゴホン…俺は橋本黎也。一応、内部生だ。」



まぁ、そうだろね。



「オレは篠宮深空。深い空って書く。あ、タバコとか吸わないよね?見た目不良だけど。」

「吸わねぇよ。だからBクラスにいんだろーが。」

「流石ダーリン。オレがヤなことちゃんと心得てる!」

「だからダーリンはやめろ。」
「ま、名前わかったしー?じゃあ…ハッシー!」

「俺は箸かぁッ!」



ツッコミありがとー。
やっぱオレの目に狂いはなかった。

あ、視力の問題じゃなくてね?
ボケにはやっぱツッコミが必要でしょ。
まぁ、視力疑いたくなるほどの強面な超絶カッコイイ一匹狼さんだけど…。
髪はダークグレイでもちろんウルフカット。
切れ長の目は黄に近い茶。
カラコンだけど…。

ちなみに出会いは5分前。
皆がホールに向かう中、オレはこっそりベランダに出た。
そしたら、はい、こんにちは、みたいな?
で、初めて言葉を交わしたのが冒頭。



「黎也でいい。」

「聖〇士〇矢みたいだね。」

「あ"?つか、古っ!」

「レーヤ。これならい?」



オレなりの妥協案。
だって『い』って言いにくい…。
母音がiからaってなにげ大変なんだぞ、口ん中が。



「…まぁ。じゃあお前はシノだな。おシノさんって呼ぶわ。」

「ちょ!仕返し!?仕返しなの?〇闘士黎也クン!」

「あ!おまっ、ヘックシュ!」



そんなこんなでこの学校初の友達ができた。
入学式に出なくて良かった。




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