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醜態を曝してしまってから数日が経った。その間、電車の中吊りや広告、テレビで悠月さんを見る度に自己嫌悪に陥る。使里樹よ、お前はなぜあんな愚かなことをしたんだ!、過去は気にしない性格だったのだが、こればかりは抹消してしまいたい黒歴史だった…。


突然かかってきた電話に心臓が飛び跳ねる、お相手は悠月さんから。醜態曝した慰謝料請求かな、…考えれば考える程、とてもじゃないけど出れない。居留守を使いまくってたら最後、一通のメール。「電話でなきゃバラす」。…こっちからかけ直したのは言うまでもないことだった。




ーーカジノ到着後、いつものように美味しいお酒と料理に囲まれながら、談笑する。皐月さんがいないのはよくある事で、今日もお仕事忙しいんだろうなあ、なんてぼおっとしてしまう。



遼一「お前ら、あの後絶対なんかあったろ、」

悠月「うっせー、」

「そういう不躾な発言、つくづく不愉快です」

遼一「え、なにこのダブルパンチ?俺なんかした?つか、図星つかれた感じ?」

「「……」」

遼一「んだよ、その間は!俺が悪人みたいじゃん」

「「……」」

千早「ふふ、なんかあったね、絶対」



周りの皆もどうやら気にかけてくれていたみたいだ。私と悠月さんについてわいわい騒いでいたけど、何も耳に入ってこなかった。悠月さんのコトバが反芻する。

『ちゃんお前を伝えろよ、お前自身を。』

私は私のままでいいんだ、そう思えるようになってから、このメンバーでいる事がすごく楽しく感じるようになったのだ…



遼一「おい、青山、俺帰るけど乗ってく?」



遼一さんの声がふと聞こえた。どうやらさっきから何回も呼んでくれていたらしい。



「あー、そうですね、お願いしま「いーよ、俺が送る。行くぞ」



私の返事を遮るようにして言葉を発したのは悠月さんだった。
側にあった私のバックを掴むと反対の手で、私の腕を掴む。すぐにその手は腕から腰へ。悠月さんの一つひとつの動作があまりにも丁寧で優しくて。私はなすがままになっていた。



千早・遼一「「……。」」



今度は残された遼一と千早が無言になる番で…



遼一「え、まさか?」

千早「いや、まさか」


まさかの展開で二人して顔を見合わせていた。



ーー



悠月「…お前さ、」

「…はい」


マネージャーさんはとっくに帰っていたので、カジノの下にいたタクシーに乗り込む。なんとなく気まずくて窓の方ばっかり視線を向けていたら急に悠月さんに話題をふられた



悠月「火サス出れんぜ、アレを完璧に演技できたら」



突然言われた一言に怪訝な顔を向けるも、だんだん言われた意味がわかってくる。途端に顔が真っ赤になった



「ちょっ!!それっ!!」

悠月「あははははっ!!」

「(本当、腹立つ)!!…でも」

悠月「…なんだよ、」




爆笑していた悠月さんは視線を流した後、私に定めた




「…あの日…ありがとうございました。私ならあんなの見たら、絶対トラウマかドン引きですよ」

悠月「俺どっちもなんだけど」

「……。あーそうですか、もういいもん、」




せっかく言いたかったコトバが言えたのに。当の悠月さんはそんなことかと簡単にあしらってきた(しかも余計な一言付きで!)




悠月「悠月」

「?」



突然自分の名を呼ぶ悠月さん、なんだろ、と悠月さんに視線を向けると悠月さんは視線を窓の外のネオンにはしらせたままで。



悠月「悠月でいいよ、今更ぶられても怖えーだけだし」

「(怖いだと?!)…ゆ、…悠月、」

悠月「ん、」

「…秘密にしてね…」

悠月「使里樹次第」




ふと意地悪な笑みとともに一瞬だけ視線を向けられ、どきっとする。
悠月さんに、初めて名前を呼ばれた。あまりにも自然すぎて、今までの方が不自然すぎたと感じる程だった。



「……悠月、ラーメン食べに行きたい」

悠月「俺一応芸能人なんだけど」

「嘘。……いつもありがとう」

悠月「…ん、」



指先が当たったと思った瞬間、温かいぬくもりが私の手に広がる、繋がれた手。再び心臓が跳ねた、でも嫌じゃないのは確かだった

えへへ、とつい笑ってしまうと悠月もつられて穏やかな表情でいてくれた




(距離が縮まるトキ。)







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あきゅろす。
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