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5◇ホームパーティー



5◇ホームパーティ


『土曜、19時に駅の改札前な、』


いつもの如くパワポの後片付けやらレスポンスシートの回収をしてたらぶっきらぼうに言われる、何でこういきなりなんすか?!




「も、もしやデートですか?!」

『お前と?、新手の拷問だな』

「失礼なっ!で、何かあるんですか?」

『いや、俺ん家でホームパーティ。お前も友達誘って来いよ』

「…ホームパーティ?」




ホームパーティかあ、この人いっつもパーカーに変な帽子で講義してるのに謎の金持ちオーラがあるからな。この前、車乗らせてもらったけど勿論外車だったし、時計も高いやつだし。パーティとかいう言葉がしっくりくるんだよね、むかつくけど、



『むかつくけど、じゃねェよ。やっぱこの話はなかった事に』

「いや、行きます!今何着ようか考えてました!」

『…どの口が言う、』




何時もみたく長々喋ってたら、次の講義の先生がドアでスタンばっていた。毎回すいません、と2人してペコペコ頭下げながらそそくさと教室を出る。





「私浮かないですかね?こう見えて人見知りなんですけど、」

『あ、?』

「(その顔腹立つっ!)ローせんせー、!」

『誤解してるみてぇだが、パーティーって言っても10人位しか来ねえよ。今回は俺の現場での任務や、他の連中の近況報告兼ねてるから勉強になると思う。まあ、気が向いたら来い』




とりあえず門まで見送ると、じゃーな、と気だるげに帰って行く先生に一礼しながら見送る。
門にいる警備員さんから何も挨拶されてないところみると、やはり講師には見えないのだろう。
見かけ若いもんね。
あ、この前スーツ着てた時はちゃんと挨拶されてたな…、


パーティーかあ…。とりあえず行ってみて場違いなら直ぐ帰ろう!先生のご友人なら変わってるだろうけど根はいい人そうだし。今後の人脈形成にも行くか!


私は正門をくるっと引き返すと気分良く次の授業へ向かった




パーティー当日。友人何人かに声をかけてみたが、バイトやら課題やらで来れず、結局一人で来てしまった。
駅に着くと既に先生がいて、これまた何時もの如くパーカーだった。この人、もとは良いのに何でいつもこんなラフな恰好なのかなあ…、

他に待つ人は居ないらしく、どうやら私を迎えに来てくれたようだだった。嬉しかったのでありがとうございます!って言ったらGoogleマップの存在忘れてた、だなんて聞こえた。勿論聞かなかったことにしておく。



先生の自宅は、都内中心地の某駅前の高級マンション。
絶対地下高いよここ、だなんて思い、つい悪ふざけで、いくらですか?と聞いてしまった。
普通に一億六千万、と返答された時は最早、笑うしかなかった。




「おじゃましまーす、」


ーー中に恐る恐る入ると短髪の爽やかなイケメン(てゆかこの歳だとイケダンなのかもしれん)がおかえりーだなんて出迎えてくれた。初めまして、青山使里樹と申します、だなんてしおらしく挨拶すると爽やかイケメンさんも挨拶してくれた。



『ロー、青山さんとは?』

「ああ、コイツは勤務先の生徒、」

「あ、そうなの!にしても…大変だね、コイツに気に入られちゃって!」

「はい、この前1分以内に200人分のレジュメホチキスどめやらされました」

『雇い主に文句言うな』

「労働環境が劣悪なんです」

「あっ、俺そっち専門だから相談のるよ、」

「?、」

『ああ、こいつは弁護士やってる、今はILOに出向中』

「そ、よろしくね」

「…あ、はい」



さ、流石。先生自身国境なき医師団に所属してるけど、やっぱり交友関係も凄いな、部屋に入って紹介される人たちは世銀やICJ、大使館勤務、外交官、ジャーナリストなど特殊な職業の人達だらけだった。
この場で一つの統治機構ができそうな勢いだ

すごいな…、
自分のいた世界がひどく狭いものに感じた。
先生のご友人たちは皆、自分の職務に誇りを持っていて、尊敬すべき人たちだった。生き生きと仕事の話をしてくれて、社会人の知人が乏しい私としては大変勉強になる。


その他、大学院に行ってる男の子とも知り合い、先生の悪口で盛り上がる。
彼はこれまた育ちの良さそうなイケメンで、ファッションセンスもGOOD!

確実に攻略したいキャラ…じゃない、いかん、いかん。


「先生とはどういった繋がりで?」

「あ、はい、私、大学で先生に(有無を言わさず)お手伝いに任命されて。そのご縁で来ました」

「それは災難だね、僕は、先生の助手なんだ。場所は違えどキミと一緒の苦難を味わったよ」

「助手?、」

「そう、医大で先生の助手を数年やってるんだ」


数年って!、私なら絶対無理だ。毎回無茶な呼び出しには耐えかねる!だなんて正直に言ってしまった直接、背後から聞こえる「ほう…。」との一言。途端に凍り付く…


ま、まずい…、ギギギっ、と効果音が響きそうなほど機械的に首を回すと、そこにいたのはやっぱりロー先生で。





その後、料理提供やらグラス下げなどありとあらゆる雑用を強いられたのは言うまでもない。


あれ、パーティーの誘いっていうより寧ろ雑用として呼ばれたんじゃね?、だなんて漸く先生の意図に気付いたのは、全てのグラスを洗い終えてからだった。



(ホームパーティーなんてきらいだ、!)


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