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2◇スゴイヒト



2◇スゴイヒト


配布されたレジュメに目を通す。下に簡略化されたプロフィールがあり、興味を引いた。大学でこんな若い先生なんて珍しい、先生というよりむしろ学生みたいだ。
視線を落とすと、何ともまあ恐ろしく華々しい経歴の持主だったことが判明。



(す、すげえええ、)



大学は国内の一流。大学院は海外の一流。ph.Dは医学と政治学の二つ持ち。現在、国境なき医師団、NGO活動、医療関係の研究所に所属などなど、どうやら医者兼講師。


wikiで検索したら絶対ヒットするだろ…。思わず口があんぐりあいてしまう、うちの大学に医学部ないのによく引き抜いたなー。
授業自体は平和協力論だったので途上国で活躍してる人物を募集したのかな、だなんて考えているとどうやら周りも同じことを思ったらしい。




ーーこの先生やばくない?
めちゃめちゃかっこいい!、




賑わう教室を見渡す。女生徒だけでなく、男子生徒にまで認められるとは…

かくいう私も、気が付いたら移り変わるスライドよりも先生を見ていた。

慌てて講義に集中する、
いけないいけない、!




講義終了後、内容がよかったためか、はたまた単に先生に顔を覚えられたいためか、先生の周りに列ができる程、生徒が並んでいた。大半がグループで固まる女子だったが、中には男子もいる。




(す、すごい人気だな、)




ーー私もよく“先生”に授業後質問に行ったっけな、
顔を覚えて貰いたくて、私だけ特別にみて貰いたくて。


昔の自分を見ているようでなんだか恥ずかしくなる。無意識に教室中に散らばったレジュメを回収するとトラファルガー先生のパソコンの横に置いた。
私も先生と話してみたかったなあ、だなんてちょっとだけ残念に思って教室を出ようとすると、





『おい、お前少し残れるか?、すぐに終わる』





さっきまでマイクを通して聴いていた声だ。びっくりして振り返る、
グループで質問に来ていた女子たちが私を見やる、え、知り合いなの?、囁く声が丸聞こえだ、勿論、その答えはno。

意地悪そうな笑みを浮かべる先生、ドキっと別の意味で胸が高鳴る。それ、依頼じゃなくて強制でしょう?無視したらその眼で射殺される!有無を言わせぬその笑みに対し、苦笑いで、「はい」と答えるしかなかった。




(わたし次、授業あるんですけど…)




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あきゅろす。
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