Phantom thiefX
嫉妬

(柳瀬 流輝×使里樹)


授業後ケータイをみると、流輝さんからメールがきてた。
どうやら今日黒狐でミッションの最終確認をするらしい、今まだ15時だし、夜まで暇だな何してよう、だなんて考えてると、ケータイにメッセージを受信しました、の文字が。



『青山、今大学?
俺表参道いるんだけどミーティングまで暇か?
稲垣 健至』



今日非番なのかわからないけど健至さんからのメールだった、私は直ぐに、「暇なうです!表参道案内します!」と打つと、「正門で待ってる」との連絡が来た、健至さんは防衛大卒で、安保や軍事についていつも見解を伺っていた、趣味も合うし、何より喋りやすい、私はウキウキして正門へと急いだ




「健至さああーん!」


正門の外の柵に寄っかかってる健至さんが見えてつい大きな声を上げてしまった、健至さんはにこっと屈託のない笑みを私に向けるとガシガシと頭を撫でてきた、



健至「おう、もう授業終わったのか?」

「(正直これはやめて欲しい)はい!今日は三限までです!」

健至「お疲れ!丁度近くに居たから連絡してみたんだけど、ミーティングまで時間潰そうぜ。この辺案内してくれよ、」

「任せて下さいっ!」



なんかもうデートみたいじゃない?!
こんな爽やかイケメンとご一緒できるだなんて逆に申し訳ないですよ。私はウキウキしながら健至さんを私のお気に入りのカフェやショップに案内した、




健至「青山さ、」

「はい?」



一通り案内した後、オープンテラスのカフェでゆっくりしてると健至さんが唐突に訊いてきた




健至「お前さ、この前流輝と二人で食事行ったんだって?」



茶化す訳でもなく、咎める訳でもなく。何となくっていう感じで聞いてきた。




「あ、はい、夜景の綺麗な所でご馳走になりました、」



怪訝に思いながらも事実を言うと健至さんは一瞬何か考えた素振りを見せたが、直ぐに笑顔になって、そうか、とだけ言うと黙ってしまった



(……、どうしたんだろ、)



その後はまた適当にフラフラして二人で黒狐に向かったーーー




「こんにちはー!、」


ガララっと店を開けると私達以外全員先にいた



宙「あれー、使里樹ちゃん健兄と一瞬だったの?」


宙くんが何故かニヤニヤしながら尋ねてくる、まあ、健至さんに私の買ったもの持ってもらってるんだからそう見えて当然か、



「はい、表参道巡りですよね!、」

健至「ああ、今日はありがとなっ!」


これまた爽やか過ぎる笑顔を頂戴し、私も笑顔になる、



ボス「なになになに、!?デートじゃん、付き合ってるの、二人?」

宙「俺たちはいっていけないよ〜」


ニヤニヤ〜っとボスと宙くんが盛り上がる、とそこで一喝。





流輝「下らねえこと話してんな。今から明日のミッションの確認する」


何時もより刺々しい流輝さんの声がする、なんか恐っ、機嫌悪そう! 内心ガクブルで流輝さんの説明に耳を傾けた



ミーティングが終わったのが1時過ぎで終電もなく、私は黒狐に泊まらせてもらうことにした、流輝さん以外は帰るらしく、扉の外まで見送る



「使里樹ちゃんまたね〜!、あ、流輝くんには要注意だよー」

健至「青山、」




宙くんがニコニコしながら強烈な一言を放つ中、健至さんが何か言いたそうにこっちにきた、



「健至さん?」

健至「あ、いや、何でもない、おやすみな」



いつもみたく優しく笑ってくれると宙さん達と帰っていった、今日は楽しかったな、食事代を出して頂いたので後でお礼にメールしとこう、だなんて考えているとぐいと腕を引かれた



「流輝さん、?」

流輝「…、」



そこに居たのは流輝さんで、未だに機嫌がよろしくないのかむすっとした様子でいる




「流輝さんどうかしました…、「健至とはヤったのかよ、」



唐突に聞かれる、は?、ヤったって何を?!




「な、なんでそうなるんですか、」

流輝「あいつもああ見えてヤることヤってるからな、」



(……え、なんなの、?)



意地悪だけど面倒味が良くて優しい流輝さんの姿などなく、目の前にいるのは無表情で蔑むような視線を送る流輝さんだった、


「、…」

流輝「んだよ黙って、」


今の流輝さんには何を言っても聞く耳を持たないだろう。そう思い、目を合わせずおやすみなさいだけ言うと押しのけるように二段ベッドのある部屋へと急いだ、



(なんなのよ、私流輝さんに何したってのよ!)



ベッドにダイブするとさっきまでの光景がありありと目に浮かぶ、私流輝さんにひどいことしたのかなぁ…、いやいやでも流輝さんが一方的に…、でも大切なミッション前に気まずくなるなんて嫌だ!、悶々と考えてるうちにいてもたってもいれなくなって、気がついたら私は流輝さんの部屋へと足を運んでいた、



ーートントン…、



「流輝さんいらっしゃいますか、… 」


ガチャ、と返事よりも先にドアが開く、目の前に立つのはちょっと困った様子の流輝さんで。何も言わずにくいっと顎を向け私に中へ入るよう促した、




「……、さっきは気分を悪くさせるような態度をしてしまい、申し訳ありませんでした、 」



私がぺこっと頭を下げると、急に流さんは私の前に来てぎゅっ、と抱き締めた、



「り、流輝さ、!?」
流輝
「ありえないよな、本当、27にもなってさ、」

「?」

流輝「健至に妬いてたのかもな…俺、悪い、忘れてくれ、」



弱々しく言葉を漏らすと、再びぎゅっと抱きしめられる、


「ちょ、ちょ、流輝さんっ!、」

流輝「お前も悪いんだぜ?、」


耳元で囁くと突然、ちゅっ、と耳朶にキスをされる、



「流輝さ、ん、っ!」

流輝「うるせ、寝るぞ、」

「いやいや、ここでは寝ませんよっ!おやすみなさいっっ!」


当然のように布団を広げる流輝さんに一喝し、部屋から出る
ドアを閉めても笑い声が聞こえるんだから腹の虫が収まらない、絶対からかわれてる!




(流輝さんは…健至さんに嫉妬したって言ってたけど、
私だってまだ流輝さんと関係が切れてない女の人に対して嫉妬してるんだから…、)



流輝さんは重い女を拒絶する、だから私は言えないのだ、私も嫉妬してるだなんて。

決して言えない想いを抱えながら明日のミッションに備えた、








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