Phantom thiefX
happy Bday!

(柳瀬 流輝×使里樹)



『使里樹ちゃーん!
夜晩くにごめんねー
明日流輝くんのバースデーなんだ
夜黒狐でお誕生会やるから来てね!
ボスでした〜☆』



(……って!もっと早く言ってよね!)




朝起きるとボスからのメールが一件。
どうやら今日は流輝さんの誕生日らしい。
なんか彼自身全く覚えてなさそうだけど大丈夫なのか…?まあ、ボスはイベント好きだからこういうお誕生会とかやらなきゃ済まない性質なんだろーな…
流輝さんは確かお坊ちゃんだったはずだ。身内で大々的にパーティしそうなイメージなんだけど本当に今日来れるのだろうか。


…多々疑問は残るが、とりあえず学校帰りにヒルズあたりでプレゼント買うことにした
しかし、流輝さんにプレゼントって何あげれば良いか皆目見当がつかない。
あの人って全て持ってるし、且つ何でも買えるから渡した瞬間「お前が俺に贈るもんなんざ大体見当つく(どやあ)」とか言われそうだ…。



(買う前から敗北感。
ああ、買う気失せて来た!)


ぶつぶつ文句を言いながらも、ベッドから這い上がるとクローゼットからお気に入りのワンピースを引き出した


ーー


「こんばんはー!」

ボス「おー、いらっしゃーい!使里樹ちゃん今日の洋服も素敵だね、似合ってるよ〜!」

拓斗「いや、マジふつーだろ。ヒゲいちいちキモイ」

「たっくーーん!」

拓斗「よっ、寄るな、近づくな、キモイっ!」

「え、っ (存在拒否ですかー!)」

宙「たっくん酷ーい!女の子には優しくね、使里樹ちゃんいらっしゃーい」

健至「お、青山じゃん、」

「こんばんはー!」




えへへ〜、なんか皆の顔を見ると安心する。カシオレだよね、とボスがグラスを差し出した。どうやら本日の主役流輝さんはまだ来てないみたいだ、



「流輝さんって実際今日来れるんですか?」



ボスにお礼を言いカシオレを受け取ると既に飲み始めている宙くんに聞く



宙「うーん、去年は確か帰って来たのが確か…」

拓斗「朝4時じゃね?」

「えええ!日にち変わっちゃったじゃないですか、」

宙「流輝くんは職場にお家に引っ張りダコなんだよ〜、」

拓斗「…。でも今年は帰ってくるんじゃね?」

健至「ははっ、確かに!」

「ん?、平日なのにですか?」



私が普通に疑問を口に出すと全員、は?って顔をしていた



拓斗「お前、わざと言ってんの?」



拓斗さんに呆れたように言われる



「?」

ボス「流輝くんどんまーい!」

宙・健至・拓斗「「どんまーい!」」



笑顔で、どんまーい!と声高らかに乾杯する4人を脇目にとりあえず流輝さんを待った


ーー


「ボス〜!」

ボス「ま、まさか!?」

「終電の時間なんで帰ります〜、」


あー、なんか頭がフワフワする。久しぶりにこんな飲んだ!殆どサワーやカクテルだけど



拓斗「まだ流輝来てないじゃん、」

「明日の教科書お家だもん」

拓斗「だもん、じゃねーし。お前何のために来たんだし」

「…確かに、」



何となく分かってた。
流輝さんに今日会えない事
直接おめでとうって言えない事。だって流輝さん一般人じゃないもん、私なんかがホイホイ会える人じゃないの

わかってたけどさ…



「ボス、これ流輝さんに渡しておいてください、」



ボスにそっと紙袋を渡すと、ボスは私の頭を撫でながら直接渡しなさい、だなんて言う。
いや、だから渡せないんだから頼んでんじゃん、気持ち察しろよ、



拓斗「繋がんねー、」



拓斗さんが忌々し気にケータイを弄る。手紙入れたし、直で渡せなくても別にいいよね、



「すいません。やっぱりお先失礼します、」

健至「青山、駅まで送るよ」

宙「いや僕がー!」

拓斗「は?送るとかマジ面倒くせー、」



どうやら三人とも駅まで送ってくれるみたい。えへへ〜だなんて笑った直後にたっくんのキモイの一言!だ、だって嬉しかったんだもん!



「ボス!宜しくお願いしますね〜っ、」

ボス「はいよー、気を付けてね!」





四人が駅に向かった直後ーー



ガラララ、
ドアが豪快な音をたてて開かれた



ボス「おっ、!本日の主役登場〜!」

流輝「って、誰もいないじゃん、」


使里樹を送りに出て行った後すぐに流輝が店に登場した



ボス「丁度入れ違いで皆、使里樹ちゃん駅まで送りにいっちゃったよー、」

流輝「聞いてねえよ、んな事。あいつまさか帰ったのかよ?、」

ボス「終電だってさ」

流輝「はああ?!俺がやっとの思いで帰って来たのに、」

ボス「やっとの思いー?」

流輝「ニヤニヤすんなおっさん」

ボス「あ、コレ使里樹ちゃんが流輝くんにって、」

流輝「…!」



紙袋の中を見ると長細い箱にカードが入っていた。ぷっくりした部分を押すと単調なバースデーソングが機械的に流れる、


『お誕生日おめでとうございます!流輝さん大好きっ!』


手にした瞬間一気ににやける。
そういや使里樹の字初めて見るわ、
字上手いな、だなんて考えてると、



ボス「入れ違いだったんだよねー、」


おっさんが強調するように言うとニヤニヤ俺の事を見る。



(ったく。わかってるっつーの、)



俺は受け取った紙袋をひっつかむとすぐさまタクシーを拾って駅に向かった





ーーピリリリリリリ、…




三人と駅で別れ、ホームで電車を待ってると電話が鳴る、だれだろ、と思って画面を見ると、“柳瀬流輝”の文字が表示された



「も、もしもし、」

流輝「改札いるから直ぐ来い、」

「はい?、」

流輝「いいから来い、俺を待たせるな」

「いやいや、終電が、」




「なんとかする…」




急に後ろから肩を抱かれ、ケータイを落っことしそうになった。
…だって目の前にいるのは、




「りっ、りり流輝さん!!、」




息切れなんて滅多にしない人なのに。急いで探してくれたんだな、嬉しくて流輝さんをついみつめてしまう、




流輝「…っ、いくぞ、」

「え、でも私、「俺が、何とかするから、」



ぐいっと腕をひかれ、駅を出る。
ふと下に目を落とした時、私がボスに渡したハズのプレゼントを流輝さんが持ってることに気がついた



「流輝さん!ボスから受け取ったんですね!」



流輝さんの誕生日に渡せて良かったです、だなんてえへへ、と笑うと流輝さんが急にプレゼントを私に突き返して来た、




「…?」

流輝「お前から渡されてない、」



むすっとした口調で言われる、
ああ、直接渡せってことね、ふふふ、だなんて思わず笑ったらますます機嫌を損ねる流輝さん



「流輝さん、お誕生日おめでとうございます!」

流輝「それで?」

「えっ、?!」

流輝「カードに書いてあることはそれだけじゃないだろ、」




かあああ、っと自分でも顔が真っ赤になるのを感じた。改めて強要されると恥ずかしい

え、え、だなんて戸惑いまくってると流輝さんがぎゅっと私の事を抱き締めてきた




「流、輝さん、!」

流輝「本当、可愛いすぎ、」



おでこにキスをすると私の手をとり甲にも唇を落とす、



「流、輝さん、」

流輝「ん、?」

「…だいすき、」

流輝「っ、!」



言い終わると同時に口を塞がれる。
ああ、なんて幸せなんだろ、
夜の光に照らされる流輝さんが、あまりにも妖艶で。
とりあえず明日の事なんて頭から綺麗サッパリ消えてった、






(流輝「ネクタイ、」

「流輝さんに似合うと思って、ご迷惑でしたか?、」

私が恐る恐る聞くと、いきなりしゅるっと今付けてたネクタイを外し、私に突き出した




「使里樹がつけて、」

「…!!」



くくっと笑う流輝さんに再び口を塞がれた、





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あきゅろす。
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