Arabians lost
10◆


10◆hint



「ロベルト・クロムウェル!」



突然呼び止められた。知り合いかな?ロベルトの肩を抱くように私たちのテーブルに着いた男をみる。



ロベルト「お、マイセンじゃねーか!」

マイセン「なになに?ロベルトも隅におけねーなー、」



変なマントと杖を持ち、私とあまり歳が変わらなそうな男がロベルトをぷぷぷと冷やかした。



ロベルト「ばっ!!、ちげーよ!」


慌てふためくロベルトがなんか可愛かった。ちゃらそうに見えて意外と純なのかもしれない。なんて考える



マイセン「はじめまして、お嬢さん。俺はマイセン、こっちはミハエル。旅人っつー感じで宜しく!な、ミハ?」


隣にいた彫刻みたいに整ってる金髪男に同意を求めるマイセン。
私もとりあえず名乗っておくと、ぱち、ミハと呼ばれる男と目が合った。
すると突然彼は驚きとも嫌悪とも考えられる顔で唸るように述べる。



ミハエル「マイセン、こいつ…人間じゃないよ、」

マイセン「は?」

ミハエル「悪魔でも天使でもない、異世界からきてる」

マイセン「はああっ?!、」

ミハエル「殺したい殺したい。こんな気持ち初めてだよ、マイセン。殺さなきゃ殺さなきゃ、ああ、マイセン、僕どうしたら‥、」

マイセン「えっ、ちょっ、落ち着けって、!ミハ!異世界の人間?!お嬢さんそうなの?」

「やっぱりそうだったんだ!!!な、なんでわかったの?!」



(私の素性を知ってる、何で!何で?)



大分酔いがまわり、気持ち良さそうに眠りに落ちたロベルトを完全に無視して話に食いつく、





ーーああ、…






心臓の音が煩い。欲しかった情報が今目の前にあるのだ。



ミハエル「あの汚らわしいネックレスだよマイセン。強力な魔法がかかってる。なんなのこいつ、マイセンマイセン!」


ミハエルと呼ばれた金髪の男がヒステリー気味にマイセンに縋り付く。




「ねえ、私を元の世界に戻して!!」





ミハエルはしきりに唸っているので話にならない。マイセンに掴みかからんばかりの勢いで懇願すした。



マイセン「‥‥そう言われてもなぁ。ミハ、この魔法って、」

ミハエル「解くことは不可能だよ、‥」

「えっ!!じゃあどうすればっ!」

ミハエル「煩い!!ああ、イライラする、殺したい殺したい‥‥。ぶつぶつ」

マイセン「俺たちでは無理だ。魔法が解かれるのを待つしかないんだよ、」

「解けないんじゃないの?!」

ミハエル「これだから人間は。ねえ、理解力ないの?僕たちの手では解けない、魔法が勝手に解けるまで待てってこと。こんな愚かな人間に高度な魔法がかかるなんて‥‥ぶつぶつ」

「どれくらい!?どれくらいで解けるの?!、」

マイセン「さっぱりだ。今かもしれないし、お嬢さんが生きてる間ではないかもしれない‥、」

「そ、そんなああああ!!」





うわあああー、ショックでパニクる。
どうしよう、どうしたら!?
私の様子を見兼ねたのかマイセンが気遣う様に語りかける、



マイセン「人に対する魔法より、モノに対する魔法の方が強力で効力期間も長いんだ。ただ、永続的な魔法なんてない。術者が生きている間でしか効力はないからな、直ぐに解きたければ術者が死ねば解決する。つまり、‥、」

「術者を殺すしかないの?」


その通り、そう意味するようにマイセンなグラスに入ってる酒を一気に飲み干す。



(ああ厄介なことになった。どうしよう!)


パニックになりながらも、なんとか情報を整理する。
この世界から脱出する方法がわかった。要は私のこのネックレスにかけられた魔法が解かれるのを自然に待つか、或いは、魔法をかけた相手に解いてもらうよう頼めばよい。
頼みを聞いてくれなかったら‥殺すしかない‥‥ってむーりー!!人(魔法使いだとしても)を殺すなんてできないし、したくない。寧ろかなりの確率で返り討ちにされるのがオチだ、



「おーまい、があああっと!!!」


隣で爆睡しているロベルトに八つ当たりしたい気持ちを抑え、絶叫した。




(どどど…どうしようっ………)







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あきゅろす。
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