Arabians lost
6◆



6◆job


ロベルトに大敗を期した翌日、再びカジノで稼ごうにも賭け金が全く足りないので、仕事を探すべく王都をぶらつく。
くそ!ロベルトのせいだよ!あいつが来なければシャークに依頼料+治療代を返済し、魔法に関する文献を漁る為図書館にこもりきりになれるのにっ!

先日ユウ以下省略と出会う前に、ぶらぶら街を見回ってみた。
それは私の想像を遥かに超えたもので、まるで自身がハリーポッターのダイアゴン横丁(イスラームver)に迷い込んだようだった。肌に痛みを残す強い日差しと野生的な喧騒と熱気。この国は日本と全然違う。誰ひとりとして似た人がいない。「普通」でいると瞬く間に存在が埋もれてしまうようだ。

ここを現実世界でないとすると…自分の身体、或いは自分の持つモノ、自分が居た場所に魔法か何かの得体のしれない力が働いたと考えるのが妥当かもしれない。
見えない力に私のもつものが引き寄せられたのだろうか。

魔法が存在するとは思えないが、現実に今自分はここにいる。この際、魔法が存在するかしないかなんていう議論は必要ない。
現実がこうなってしまっている以上、目の前の問題にどう対処すべきかが最重要課題である。

ぶつぶつ文句を言いながら中心街を彷徨うと一際賑やかな建物があった。




(酒屋か、)




居酒屋だよね、でも昼もやってるみたい。
こんな王都の中央にあるなんて情報の溜まり場じゃないか!



私はすぐさま店長に駆け寄ると、働かせてもらえるよう頼み込んだ、そして今に至るのである‥‥。


ーー


シャーク「『そして今に至るのである。』じゃねーよ!なに上手くまとめてんだよ。ったく、夜の仕事は辞めとけって言っただろ!」




どかっと腰を下ろし、ありえねぇ、ありえねぇ、と呟くシャーク。私がお店で働いていたら、ばったりと鉢合わせし、説教をくらう羽目になった。



「だって、しょうがないじゃん。お金の為だもん!てゆか夜の仕事って言い方‥‥(おっさんくさくない?)」

シャーク「おい、何がおっさんくさいだよ。もろに聞こえてんぞ。で、帰り道どうすんだ?夜の一人歩きは危ねえって!殺られるか、ヤられれるかってのがオチだ」

「えっ、」



真剣に私を止めようとするシャークにドキっとした。そんなに私のこと心配な‥「アンタが死んだらそのネックレスを回収すんのに手間かかるだろ!」

「ですよねーー、!」





ああ、ときめいて損した!シャークの真顔で説教するのに辟易しながらテーブルのグラスを下げる。



シャーク「俺だって毎晩暇じゃねーんだよ」



そんなのシャークが部屋に戻る時間を考えると当然のことだ。病院での急患の処置や商人達との会合など、多才な故、持つ顔毎に居場所が異なる。時間が足りないのは至極当然のこと。



シャーク「‥‥誰がアンタを迎えに行くんだよ」



え、?
ふと顔を上げるとバチッと視線が合う。
「そんなに私のことが心配な「あー殺しておけば良かったぜ」

「ですよねーー、!」




一瞬いい感じの雰囲気になったと思ったらお決まりのパターン。もういいんだ。
とりあえずカネと情報!以上!
客として来てたシャークに、ごゆっくり!とだけ言うと他のグラスを下げるべく他テーブルへとまわった。



シャーク「あいつ‥」



他テーブルで自分には見せない笑顔を振りまいているシリキを見つめるシャーク。

とんでもねぇ厄介なモノを引き取っちまっただなんて考えながらお代をテーブルに置くと、指定された会合場所へ向かうため限られた者しか入れない店の奥にある部屋へと足を運んだ。





(………たく、しょうがねえな俺も)





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