diabolik lovers
好きで好きでたまらなくて。私だけを目に映してほしくて。

※ユイちゃん好きさん注意


逆巻シュウ×エリア

(好きで好きでたまらなくて。私だけを目に映してほしくて。)




「エリア、休み時間になったよ」

「んー。」

「んー、って!逆巻シュウ様のとこ行かないの?」

「……、」


友人に叩き起こされ、反射的に飛び起きる。けれども心は鉛のように重い


「どうしちゃったのよ?いつもなら号令前に教室飛び出して逆巻シュウの元へ飛びついてたのに」


何か変な物でも食べた?と要らぬ心配をする友人たちを適当にあしらうと、私は机に顔を伏せて必死に涙を堪える



(私だって…行けるものなら行きたいよ…)



入学式で一目惚れ。違うクラスだなんて関係ない、それはもうストーカーの如く通い詰めること三年間。いや、四年間か。だって私…留年しちゃったんだもん☆シュウ様を残して卒業なんてありえないじゃない!

どう?私の愛は?…だなんてちっとも自慢になんてならないけど、それくらい好きで好きでどうしようもなかった。


だけど。


シュウ様の様子が最近おかしい。おかしいっていうより雰囲気が変わった。今まで何に対しても無関心で、瞳に色なんて灯ることなんてなかったのに。


その原因はたぶん…


数週間前に転校してきた女の子、小森ユイ。どうやら逆巻兄弟と同じ家に住んでいるらしい。それを知ったのは昨日のお昼休みだった。

いつもと変わらず勝手にシュウ様の元にへばり付いてランチを食べていると、私たちの前に華奢な女の子がお弁当を渡しにきたのだ。届けものか何かだろうか。私がシュウ様にお熱なのを知らない人は校内にいない。即ち、シュウ様と過ごす神聖な時間に割り入る猛者なんて居ないのだ。

転校生?それとも、シュウ様の知り合い?と、ちらりと横にいた彼を伺うと、そこには信じられない光景が。なんとシュウ様は私に一度だって見せたこともないような笑みをその女の子に浮かべたのだ。瞬間的に身体が固まる。それすら驚愕の事実だと言うのに、なんとシュウ様は私の前で女の子にキスをした。

ユイ、ありがとう。と一言添えて。


シュウ様の元に通い詰めて一年目、シュウ様は漸く私の目を見てくれるようになった。
二年目、話しかけたら返してくれるようになった。
三年目、イヤホンをとって私の話を聞いてくれるようになった。
そして四年目になった今‥‥特に何にも変わらず。

シュウ様は私の名前すら知らないままだ。



それなのに四年通い詰めた私が成しえなかったことを、この女の子はいとも簡単にやってのける。

シュウ様に名前を呼んでもらって、優しく笑みを向けられて‥‥甘いキスをもらう‥‥。私が何度も夢を見たことだ。平凡そのものなこの女の子にあって私には無いもの‥‥


それは何?




ーー


「エリアちゃん、俺ずっと好きでさ‥‥その、付き合ってくれない?」

「んー、いいよー」



うっそ?、マジ?、興奮気味に騒ぎ立てる男を横目にふと満月を眺める。あれ、この人誰だっけ?あ、そうそう。私に告白してきた21人目の男だ。

どうやら私はモテるらしい。それもそのはず、今を時めくスーパーアイドルだからだ。寄ってくる男はみんなステータスとして私が欲しいだけ。撮りたくもないのにツーショットやキスプリを要求され、それをすぐ世間に流すのだ。俺は人気アイドルと付き合ってる男なんだ、羨ましいだろう、と。私の気も知らないで。


シュウ様の元へ通わなくなってから3日過ぎたが、その間に告白されること21回。ざっと計算すると一日7人ペースだ。いい加減休み時間毎に呼び出される面倒臭さから、無意識的に了承してしまっただけ、好きなんて気持ち全くない。


(目があって一秒、微笑んで二秒、手を降って三秒‥‥
男なんて簡単に落ちる。)

そんな私の考えを根底から覆したのが‥‥シュウ様だった。最初は絶対この男を落としてやる、という所謂プライド心からくるものだったが、いつの間にか恋する乙女へと変貌を遂げていた。彼の瞳に映るために努力をする‥‥シュウ様は私を普通の女の子にしてくれたのだ。




「‥‥逆巻の野郎からようやく離れたんだ‥‥なぁっ、?いいだろっ?」

「‥‥んー」

「はぁっ、はぁ‥‥エリアちゃん!!」

「っ?!、」


急に腕をひっぱられたかと思った次の瞬間、教室の床に叩きつけられた。思わず我にかえると、どアップに映ったのは私に告白してきた男の子で。



「‥はぁ、っ‥‥いいよね?俺たち付き合ってるんだし‥っ」



カチャカチャと金属が擦れる音が誰もいない教室に響きわたる、何の前触れもなく引き下げられたショーツが無残に放り投げられた。ああ、嫌な予感がする‥‥頭の中でガンガン鳴り響く警鐘。逃げなきゃ、誰か助けて‥!そう頭では思うのに一方では‥



(シュウ様から愛されないのなら私なんかどうなったっていい‥‥)



後者の思いが結果的に勝ったのだろう。抵抗もせず、受け入れようとふと目を閉じた時。



「何やってんの?」



聞き覚えのある声。でも直ぐに確信が持てなかったのは‥‥あまりにも声色に怒りが含まれていたから。



「さ、逆巻っ!?」

「っ‥‥、」

「‥‥アンタさ‥‥何やってんの?」


正義のヒーローみたいな登場。でも何かが違う‥‥だってヒーローであるシュウ様が怒りを向ける相手は目の前の盛った男じゃなくて、私だから。

教室の空気が一気に下がった気がした。冷たい怒りを肌で感じる。しかし、そんなシュウ様に射抜くように見つめられ、身体の芯から熱くなっている私は、最早末期だといえよう。


「言えよ‥‥、エリア。お前は‥‥誰のものか」

「(今、な、名前!?)わ、私は‥‥っ?!」

「‥‥んっ」


吸い寄せられるように腰と頭に手をまわされる、重なる唇。



「‥‥はぁっ、‥‥俺を待たせるな‥早く言え。お前は‥‥誰のものだ?」


私にとって絶対的な存在。
それは‥‥


「‥‥シュウ様のもの‥です」


言葉を必死に手繰り寄せ、紡ぎながら発すると、私を抱きしめていた腕が一瞬緩んだ気がした



「‥‥そういうワケだから‥‥部外者は出てってくれる?‥‥これから俺たちがやる事を見たいっていうなら話は別だけど」



シュウ様がふと男に視線を向けると、顔を真っ赤にして走り去ってしまった



「俺がお前を遊んでやろうと思ったのに‥‥まんまとのせられたな‥」


再び私をきつく抱きしめると耳元で甘く囁く。シュウ様の吐息一つひとつに反応してしまい、つい身体を強張らせてしまう



「‥‥のせられた?シュウ様それってどういう‥‥っ?!」


動揺心を隠すことなくシュウ様を見上げると、そこには‥‥


「んっ‥‥俺が嫉妬しちまったってこと」


柔らかく微笑んでくれるシュウ様がいた。
私の目を見て、私だけに向けられる笑顔。



(好きで好きでたまらなくて。私だけを目に映してほしくて。)




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あきゅろす。
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