diabolik lovers
ぷち中編)1
※主人公の嫉妬話/ユイ好き様閲覧注意
ああ、イライラする。
自分はいつからこんなに嫉妬深くなったのだろう。最悪だ。
ルキたちが探し求めているイブ。
それが一体何を意味するのかは知らないけれど、その正体が小森ユイというのは紛れもない事実だった。
ルキたちが執着して探すその女。どこにでもいそうな普通の子。しかしその従順そうな性格と柔らかい雰囲気はまさに男受け抜群そうで。どうせ中身なんてこれっぽっちもないくせに。私が最も嫌いなタイプだった。
帰宅早々ベッドにカバンを放り投げる。
最近ルキたちの会話の中心がいつもイブなのだ。彼らがイブについて話をしている時は私の存在は無で。
そんな彼らと専ら顔を合わせたくなく、態と時間を合わせないよう生活をしていた。
(ああ、私の…完全に嫉妬だ)
寝静まったのだろうか。静寂そのものの屋敷の中で私の心だけが醜い感情に支配される。
(もうだめ、辛い…)
いつもそばに居た私の兄弟たち。それがいつの間にか彼らの中心は私でなく小森ユイになっていたことは明白だった。
兄弟たちに構ってもらえない不満からだろう。彼女に対する嫉妬が生まれ、そんな醜い感情を持つ自分に嫌悪する。本当に最悪の状況だった
(ルキたちが小森ユイを必要としているならば、もう…この家にはいられない。いたくない。私の存在は不要だもん。)
そっと愛用しているバックを手繰り寄せる。私の持ち物しかこの家での仲間はいない気がした。
(出よう…)
独り、がらんとした部屋に別れを告げるとそっとドアノブに手をかけた。
「…おい。……エリア」
「っっ?!」
殺伐とした廊下に響く声。振り返らずとも解る。ルキだった。
「……お前。いい加減にしろ。最近のお前の行動は目に余る。」
ルキが怒っているのは明白だった。兄弟たちを纏める彼は常に私たちの事を気にかけ、些細な変化すら見過ごさなかったのだから。
「私、この家出るわ。今までお世話になりました。」
目を合わせたら絶対泣く。だからくるりと振り返り即座にお辞儀をすると足早に去ろうと踵を返した。
「…待て。エリア」
最早、身体に染み付いているのだろう。ルキの絶対的な命令。この家を出ようと思っても彼の言う事は絶対だった。
「……出ていく…?どういうことだ。……俺の目を見て話せ。」
淡々とした口調。しかし唸るような声色にぞくりとした。
「……ルキたちに必要なのは私じゃない。それだけ。…私は私が必要とされる場所に行く。」
ゆっくりとルキの目を見て答える。
「…そうか。…ならば勝手にしろ。……言っておくが…この家に…二度と戻るな」
引き止められることもなく。ただ吐き捨てるように言うルキを前にして、足元がくずれ落ちる感覚だった。それと同時に密かに安心した。引き止められでもしたら、出ていくと決めた意思がぐらついてしまいそうだったから。
「じゃあ…イブと仲良くね。」
一瞬ルキの表情が僅かに変化した気がした。最後に皮肉めいた笑みをルキにむけると、足早に玄関へと向かった。
(今までありがとう)
つづく。
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