diabolik lovers
忠誠


ルキ…




まただ。この時間になると毎晩決まってルキはうなされる。額に汗を滲ませ、酷く苦しそうに何度も寝返りを打つ。何が原因で悪夢に苛まれているのかわからない。だけど、固く自分の胸元を掴むルキを見ていると、とてもじゃないけど再び眠りにつこうだなんて気にはなれなかった

そっと起き上がると、ルキに視線を落とす。
以前、額の汗を拭ってやろうとした時、寝首を掻く輩かと間違えられ殺されかけた。俺に同情や憐れみを俺に向けるな。次はないと思え、と冷め切った視線とともに。


そうはっきりと言われても、ルキのことが気になって仕方がない。

全てを拒絶している姿。誰かに助けを請うことはせず、1人で全てを受け止めようとしている姿…。

誰かを信ずることよりも、自ら犠牲になることを選んだルキは、あまりに痛々しく……

孤独だった。



(ルキ、大丈夫だよ、私がいるから。)



囁くように何度も告げる。
……私が彼を救いたいと考えるのは傲慢だろうか。本当は抱きしめて頭をなでてあげたかったが、不安定な今の状態ではかえって逆効果だと思った。



(私の全てはルキのもの…
ルキが決めたからじゃない。私が…自分でルキに捧げるって決めたんだから…)


ルキの痛みを分かち合うことなんて出来ないけど、ルキがこれから先悲しみでなく喜びを集積できるよう私は側に居続ける。駒でしかない存在でもかまわない。もう二度と独りになんてさせない。



(私はルキを愛しています。)


ルキには決して言えない愛してるという言葉。
忠誠を誓うようにそっと耳許で囁くと、ルキの表情が一瞬和らいだ気がした。





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