diabolik lovers
01.牙を持つ彼。



(無神ルキ×青山エリア)



(あっ…!)



今日は創立記念日で学校は休み、別に何をするわけでもなく街をふらふらしているとウィンドウ越し見えたのは…



(あれ…無神くんだ、)



無神くんは突然やってきたsuper転校生。なにがsuperかと聞かれれば列挙しきれないほどとにかくsuper。全てが超越してる存在。ルックスは勿論だけど甘い声や頭の良さ、運動神経も最高。まさに完璧。完璧と言えば逆巻兄弟もだけど、彼らはどっちかっていうと問題児のくくりに入るため、superからは除外。しかも四兄弟ときた。その中の1人、コウくんは有名アイドルでもある、

そんな無神兄弟の長男、ルキくんと私は運命的に同じクラスになった。転校生だって言うのに先生の期待もあってかクラス委員長。で私が副委員長。それだけの関係だけど、私には十分だった



(何度か話したことあるし、話しかけてもいいよね?)



学校以外で会うのは勿論初めてで。若干戸惑うも、声をかけたい気持ちの方がまさった。

いらっしゃいませ、とガラスの扉が店員によって開かれる。無神くんってオシャレなお店入るんだな、なんて思いながらキョロキョロ店内を探すと…



(あっ、いた!)



グレーのジャケットに黒のインナー、ブラウンのベルトに黒のパンツ。大人っぽすぎて一瞬、本当に無神くんかわからなかったけど、首にしてるチョーカーが彼だとわからせてくれた。

上品な雰囲気に身長も高いせいか、周りの女の人がチラチラと彼に視線を送っているのがわかる、



(うわあ、会えてラッキー!!)



「無神くん!」

ルキ「…?誰だお前」



(だ、誰だ?って!)



そんなストレートに言われると多少なりともショックなわけで。折れそうになる心を持ち直すと頑張って笑顔を保つ


「青山エリア、同じクラスの。ほら委員長一緒にやってるじゃない」

ルキ「…青山エリア?…悪いが知らないな、」

「えっ!、ちょっ!」


そのままスタスタ歩いていってしまう無神くんに待ったをかけると心底鬱陶しそうな表情で私を見やる


ルキ「なんだまだ何か用か?」

「えっと…その、」


用かと聞かれたら用なんてないけどさ、ただ少しでも目の前の彼と一緒にいたかった。当の本人はこれ以上無いほど迷惑そうな顔をしているけど…


ルキ「…お前も大方俺の外面に惑わされたのだろう…?本当に人間は愚かな生き物だ…本質を見ず、すぐに視覚的な物事で判断を下す」


吐き捨てるように言う無神くんに違和感を感じた、その言い方だとまるで…


「…無神くんが…人間じゃないみたいな言い方…」


つい考えが言葉に現れてしまった。無神くんは一瞬はっとした顔になるも、それを打ち消すようにして挑発的な笑みを浮かべる


ルキ「だったらお前はどうする?悲鳴を上げて逃げ出すか?それとも涙を浮かべ助けを乞うか?…どちらにせよ俺にはどうでもいいことだ…」


段々と近付く距離に息を飲む。さっきまであんなに側にいたいと思っていたのに…今はなぜだか言い知れぬ恐怖でいっぱいだった



ルキ「それとも、なんだ…お前は俺の家畜になりたいのか?」

「か、家畜っ?!」


あまりの一言に全身がフリーズ。生まれて初めて家畜だなんて言われた、失礼にも程があるだろうときっ、と睨みつけようとした時、突然ぐいと全身が引っ張られる


「ちょっ!!?」


パタン、と乾いた音がしたかと思えば目の前には私と無神くんが写っていた。この場所は…試着室だった。直様、抗議の声を上げようとするも後ろからがっちり抱きかかえられているため身動きがとれない



(な、な、な、なんなのよっ!!)



鏡越しに無神くんと視線が合う、密着する身体。妖艶な笑みを浮かべる彼に全身が熱くなるのを感じた



ルキ「…黙れ。…お前の俺に対する眼差し……俺が気付いていないとでも思っていたのか?それならばお前は…本当に馬鹿な女だ…」


ゆっくりと愛を囁くように耳元で
言葉が発せられる。どく、どく、と楔を打つように心臓が高鳴る、同時に赤くなる顔、私は何も言えなかった、だって無神くんのこと…



ルキ「欲しいんだろう?俺が」

「っ!?」


突然首元に激痛が走った、あまりの痛みに声を失う、首の肉に杭を打たれた感覚。肌が破れじわり、じわりと血が滲む。熱く痺れ始める首筋…



ルキ「…んんっ、…声を…出すなよ、…うんと、気持ち良くしてやる…その代わり…極上の血を…差し出せ」


鏡越しに見えたのは無神くんの心底愉快そうに笑う姿、口元から見えた鋭い牙。そして首から伝う私の血。

頭が真っ白になり、そこで私の意識は途絶えたのだった…




01.牙を持つ彼。




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