diabolik lovers
文化祭〜無神家〜
※注意
・mb特典 CD執事の内容
・無神家 会話多め
・ルキ大好きヒロイン(崩壊気味)
・ルキ落ち
文化祭〜無神家〜
な…に……?
執事……喫茶……だと…
ユーマの部屋で陶器の割れる音がけたたましく鳴ったので、慌てて駆けつけると。
そこには白いワイシャツを着崩し、腰に黒いサロンをまくユーマと同じ格好をしたアズサが何やらままごとのような真似をしていた。
アズサ「ユーマ……これで割ったの12枚目……ルキに…怒られるよ…」
ユーマ「うっっせぇぇな!!あぁあ、練習なんざもうやってらんねー!俺は降りるからなっ!!!」
アズサ「…せっかく育てた野菜……
いいの……?」
ユーマ「それを言うな!アズサぁぁあ!!」
頭を抱えるユーマとバターナイフを恍惚とした表情で見つめるアズサ。
「ねえ、何その格好?なんかのギャグ?」
ユーマ「黙りやがれ、メス豚!!俺はな、俺はな…やりたくねぇぇんだよ!!」
アズサ「…明日の…文化祭……。執事喫茶…やるんだ……」
はい。冒頭に戻る。
執事……喫茶……だと?
「認めません!ええ、私は絶対認めないからね!!」
ルキ「…はぁ。だから言うなと言ったはずだが」
夕食のため全員がダイニングに集まったところで、今さっき耳にした話の事実確認をすべくルキに詰め寄る
「許しません!私のるーくんがどこの養豚場か知れないメスブッッツァ共の餌食になるなんて!!それに執事服だと…?けしからん!!今すぐ写メらせてくださ
ルキ「黙れ」
「はい」
ルキ「全く…お前たち…面倒は起こすなと伝えたはずだが?」
アズサ「…ごめん、…ルキ…うっかり…しゃべっちゃった…」
ルキ「とにかく明日はお前の立ち入を禁ずる。余計な事を引き起こしかねないからな。」
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだもーん!絶対行く。名前変えて全席私が予約してやるそれよりも商品一括で買い占めるか…ぶつぶつ」
コウ「あーあー、ほらねー。また始まったよ〜てゆーかエリアだってクラスで劇やるんでしょ?」
ユーマ「劇ぃ?はっ!こいつが劇ね!笑えるぜ!で、何役やんだよ?」
「るーくんの執事服…るーくんからのお嬢様呼び…ぶつぶつ
コウ「はいはいエリアこっちに戻ってきてー」
ルキ「確か劇は『白雪姫』と言っていたな」
コウ「そうそう。俺と同じ事務所の女の子と男の子がお姫様と王子様役やるんだって。俺には及ばないけど、一応美男美女。期待作品らしいよー、、……でエリアは何役だっけ?」
「!!……わ、わたし?…何役だっていいじゃん!それより
「…『食いしん坊』……七人の小人の一人だって…前に…聞いたよ…」
「それを言うなあああああ!!!」
ユーマ「ははははっっ!!マジ爆笑だろ!!まんまじゃねーか!」
コウ「しかも台詞が『お腹空いたよ〜』しかないとか超笑えるー!」
ルキ「…嘆かわしいな……」
「あ、でも姫役の子が丁度その日ロケ入ったらしく急遽私が姫役になったんだよね。土壇場で配役変わるとか迷惑すぎでしょ?食いしん坊役がいなくなったからお気楽役の人が兼任するんだよ、六人の小人とかなんかちがくね?」
「「「はっ?!?」」」
ルキ「お前……、今何といった?」
「え?六人の小人?」
ルキ「その前だ。まさかお前……姫役をやるのか?」
「うん。食いしん坊よりは台詞多いけど一生懸命練習したし、多分大丈夫。じゃ、明日早いからおやすみー」
ユーマ「……姫…、あいつが?」
「「「「……。」」」」
るーくんの執事服…るーくんの執事服とぶつぶつ言葉を零しながらダイニングを後にするエリア。彼女を驚きの眼差しで見つめる兄弟一行。
さあ、波乱の文化祭まであと15時間…。
▼
文化祭当日。衣装に着替えた私たちは台本の最終読み合わせをしていた。本番が目前だと言うのにルキくんのことばかり考えてしまう。
私のルキくんに近づくなんて…
「この毒リンゴで雌ブッッツァ共を…
王子役「おい、それお姫様が言う台詞じゃないから。つか女王もそこまで言わないから」
「あ、ごめん…」
くそう。なんだよ読み合わせって。全然集中できないよ。一刻も早く劇を終わらせてるーくんの元へ行かねばならんのに。
「待っててね、今会いにいきます!!」
監督「ちょ、この作品白雪姫だから!!誰だよこいつを姫役にしたの!!」
監督の絶望する声なんて耳にも入らず、ただ私はルキくんのことだけしか考えられなかった。
▼
(あとは棺で寝てればいいだけだもんねー)
観客で満員の中、残るはキスシーンのみだ。勿論キスしてるふりなので私はとりあえず寝てればいいだけ。
息を飲む観衆から視線を受けながら、とうとうクライマックスを迎えようとした時、
(えっ…?!)
突然柔らかいモノが自分の唇に重なる。一瞬脳がはじけた。何これ?!
考える間も無く、ぬるりと差し込まれたのは…紛れもない舌で。
途端に目を開けると周りは真っ暗で何も見えない。
(え、電気が消されてる?なんだこれは!こんなの台本になかった!それにっ…!)
「やめっ…!んっ、る、きっ…」
助けを請うように、口から出たのは大好きなルキくんの名。ルキくん以外とのキスなんて唾液交換でしかない。最悪だ。
嫌悪感から突き飛ばそうと片足を上げた時、
「…んっ…、俺だ、」
真っ暗闇の中から聞こえたのは甘い吐息と愛しい人の声で。
(えっ!?ルキくん?!)
今だに塞がれている唇から合間に発せられた声に思わず反応する
私がキスをしているのは紛れもない。
ルキくんだ。
「…たとえ劇でも……んっ、…許さない…お前は俺のものだからな…」
じわり、と全身が熱くなる。
なんで、と尋ねようとした瞬間、ぱちりと明かりが付いた
でも、ルキくんの存在は跡形もなく、そこにいたのは後ろで伸びている王子様で。
ナレーター「っっ!こ、こうして王子様の口づけに頼ることなく復活を遂げたお姫様は、自分の理想とするパートナーを求め旅に出るのであった…お、おしまいっ!」
即興で作った話を無理やり言い切るナレーター。アクシデントがあったことも知らず大喝采のお客さんたち。
(い、一体…なんだったの…?!)
未だに残る熱い唇の柔らかさだけが、この場所にルキくんが居たことだけを示していた。
文化祭〜無神家〜end.
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