[携帯モード] [URL送信]

camellia - カ メ リ ア -
 02. 


「別に。 何でも……」

とりあえず答える。自然と溜息が漏れ、俺はシートにもたれ掛かった。

目の前が徐々に拓けてきて、大きな洋風の屋敷が目に入る。外門は美しく磨かれていて、脇の花壇には色とりどりの薔薇が咲いている。この門から屋敷の入口までも、結構な距離がある。

おいおい、まさかこれが家とか言うんじゃないだろうな。

「着きましたよ」

まじか。まじかよ、おっさん。

外門は遠隔操作をしているのか、車が目の前までくると静かに開いた。
車は門をくぐり抜け、重たそうな屋敷の扉の前で停車した。

「まじかよ……」
「なんだ、気に入らないか」

唖然としている俺の横で、獅子雄が言う。
いや、別に気に入るとか入らないとか、そういう問題じゃない。ただ、信じられないだけで。絶対に土地の無駄遣いだって。何十人も家族がいるなら、別だけど。金持ちって恐い。

「どうぞ、獅子雄様、坊っちゃん」

執事が車のドアを開ける。
「来い」
再び、獅子雄に担ぎ上げられるような形で肩を借り、車を降りた。



[*前へ][次へ#]

2/19ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!