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camellia - カ メ リ ア -
 02. 

亜鷺が部屋を訪れたのが一昨日の土曜日、そして昨日の日曜、俺は体調不良を理由に丸一日自室に籠もっていた。すべての窓を全開にし、そのひとつひとつを睨みつけながら監視していたが、亜鷺はちらりとも姿を現さなかった。待っていたのではないけれど、奴が何をどこまで知っているのか確認をしたかった。しかし自ら「西の棟」まで赴く勇気もないまま無駄とも言える時間を過ごし、気付けば一日は終わっていた。

亜鷺は俺を知っていて、そして蛇岐を知っていた。それもきっと、ただの知り合いではない。深い関わりを持っている気がする。蛇岐も、亜鷺を知っているだろうか。

なるべく自然を装い、後ろに座る蛇岐を振り返ると、椅子に浅く座り踏ん反り返っている蛇岐としっかり目があった。

「な、なに?」
「いやあ? いつもに増して考え込んでるなあと思って」
「……別に何も考えてなんか………」
「うーそ、椿姫、すぐ分かる。 目で分かる」

ぴくりと、肩が震えた。俺がどんな目をしているというのか。まさかお前まで、俺と同じ目だなんて言うんじゃないだろうな。それが怖くて、俺は静かに目を伏せた。

「ね、椿姫、ちょっと抜けない?」
「は? なんで」

蛇岐は返事を待たず、俺の腕を掴んだかと思うとそのまま歩き出した。体格の差は一目瞭然、抵抗するのも馬鹿馬鹿しい。小走りになりながらついて行くと、階段をいくつも上がりだんだん人気もなくなり、辿り着いた先はどうやら屋上らしかった。錆びついた鉄のドアには立入禁止と書かれた紙が乱雑に貼り付けられていたが、鍵が壊れているわけではないのに何故か施錠されておらず、蛇岐が片手で押すと甲高い悲鳴のような音を立てながらいとも簡単に開いた。

「おまえが鍵あけてんの?」
「まさか、はじめっから開いてた。 ーーーで、俺に何か言いたいことでも?」

屋上に足を踏み入れるなり、蛇岐はそう切り出した。案外的を得た質問なだけに、俺はすぐに返事ができなかった。




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あきゅろす。
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