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導かれて戦国へ
いつもの日々から

「てめえらー!また皿割りやがったな〜!」

「ひぃッ!」

「ほら走れよ、太陽。」

「早いよ天龍!」

佐々木 太陽はラーメン屋を飛び出ると、5m先を走る大空 天龍に腕を伸ばした。天龍は太陽の腕を掴むとさらに早く走った。
何故彼女らは追いかけられているのか、それはすべて天龍が原因である。客が生意気だとコップの水をぶっかけ、さらに怒りに我を忘れ皿を割り、店の備品を3分の2破壊した。

「てめえらなんかクビだー!」

「まっまた〜?!」

「これで6回目だな。」

冷静に返す天龍とは裏腹に、太陽は店主に謝っていた。いつもならこのまま家に帰るのだが、今回の店は途中で諦めてくれず、未だに追ってくる。

「斬るか?」

「ちょっ馬鹿!こんなところで日本刀振らないでよ!私に当たるッ」

天龍は服の中に隠している刀に手をかけながら走る。これは彼女の'形見'らしい。詳しくは話したがらないが、きっと大切なものなのだろう。
二人は細い路地に入り店の人間から離れる。と、天龍が刀を服から取り出し太陽の前に差し出した。

「ここで待ってろ。ついでに走るのに邪魔だからこれ持ってろ。」

「えっ…でもこれは!」

「いいんだよ。…形見っつったって、そんなに大切でもねぇし。」

「…。」

黙る太陽を横目に天龍は路地を出た。

「天龍!」

「隠れてろ!…すぐ戻る。」

「いたぞ!あそこだー!」

「捕まえろー!」

天龍は小さく舌打ちすると、振り返らずに路地を駆け出した。それを確認した太陽は刀を両手で抱えながら一番近くにあるゴミ箱の蓋を開けた。

「おっ!ゴミないじゃん、ラッキー!」

先に刀を入れ、すぐに自分も入り蓋を閉める。と、不意にまるで高いところから落ちたような感覚に陥った。最初は風が吹いているのだろうと思ったが、下を見ると一面緑の草原が広がっていた。

「えっ!?何でッだってここッ…ゴミ箱ッ!いやぁああ!!」



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