太陽の子守唄 1 外は快晴。 絶好の墓参り日和。 巨大な建物から出てきた女性は、古びた向日葵が描かれている着物を着て、同様の柄の巾着袋を手に門に近づくと、建物から一人の男が駆け寄ってきた。 「あっ…!太陽殿。無断で外出なさると木戸様がが心配されます!」 「…私、束縛されるのは嫌なんだ。去ね。」 太陽と呼ばれた女性は男の制止を押し抜け扉に手をついた。だが、警備軍が許してくれそうにない。 「太陽殿!」 「…今日は。駄目なんだ。」 そういうと袖から短刀を取りだし、鞘に仕舞ったまま彼らの首を狙った。男達の反応が一瞬遅れる。 「ぎゃっ!」「のぁっ!」「う゛ぁあっ!」 ドサドサッと三人が倒れる。太陽は男が気絶したのを確認すると、もう一度扉に手をついた。だが、隣に人の気配がしてそちらを向いた。 「…桂さ―」 「木戸だ。―…外では、木戸 孝允と呼びなさいと言っているだろう?」 「そうでした。木戸さん。」 「…そういえば、今日はあの戦いからちょうど一年か…。」 「…。」 太陽が黙り込むと、桂 小五郎は少し考え込んでから太陽の手をとり扉を開けた。 「!!木戸っ」 「心配はいらぬ。他の連中には少しばかり抜けると伝えてある。」 いつも来ている洋服ではなく、昔の頃のように白い着物を着て、太陽のお気に入りの薄紫の羽織を着ている。太陽は自然とその羽織の端を掴んで桂を見上げた。 「……墓参りが、したい。」 「そうだろうと思っていた。…外に馬車を用意してあるが?」 「ううん。徒歩で行きたい。」 「だろうな。」 桂はそう言って笑うと、改修工事をしている街道を進んだ。 [次へ#] [戻る] |