シスコン☆プリンス
3
天龍は男どもの洗濯物を各自の部屋に放り込むと、風間から自分の服を奪い取り洗濯機に放り込んだ。
「むぅ…もう洗ったではないか。まだ汚れでもついていたのか。」
「千景菌っていうこの世で一番汚い菌が付いてたんだよ。何度洗っても付いてくるんだ。」
天龍が皮肉たっぷりに言うと、風間は
「なんと迷惑な菌なのだ…俺の天龍にくっつくなど…菌と言えど許せん!」
等と叫んでいた。
いや、あんたの事だよ。
ガチャンッ
「只今帰りました。」
「あ゛〜疲れた。」
「あっ!九寿と匡の声だ!」
天龍は風間を置いて玄関まで行くと、そこにはエコバッグを持った主夫天霧と、母親の荷物持ちをさせられているような不良不知火が立っていた。
「お帰りなさい!」
「只今、天龍。」
「なんだ、もう帰ってたのか天龍。なんかおやつでも買ってくるべきだったな。」
「昨日作った豆大福がまだ残っているはずですよ。天龍、食べますか?」
「うん!食べるー!」
「俺はカステラがいい。」
「来たな我が儘プリンス。」
不知火が嫌そうに顔をしかめるが、風間は気にせずエコバッグの中を探り、目当てのものを見つけた。
「昨日振りだな…文●堂カステラ。」
「よく毎日食べてて飽きないよね、ちぃ兄。」
「今まで一度たりともカステラを欠かしたことはない。」
「Σスゴッ!」
*****
「♪〜♭〜」
天龍がCDを流しながら部屋でストレッチをしていると、扉を叩く音がした。ノックをしてくれるのは一人だけである。
「何〜、九寿ぅ?」
「おや、よく私だとわかりましたね。」
「この家でノックをしてくれるのは九寿だけだもん。」
不知火は扉の外から話しかけてきて、絶対に中に入ろうとしない。
というのも、前に急に開けた時にYシャツ姿の天龍を見てトラウマになったからである。
(風間に一日中後ろから呪いの言葉を浴びせられたからという話もある。)
風間は勿論いきなり開けて入ってくる。
天龍が裸だろうがお構い無しに入ってきては、急いで着替える天龍をニヤニヤしながら観賞する。
変態ロリコンスケベじじぃなのだ。
「天龍は何故すとれっちを?」
「運動会が近いからね!目指すは優勝ただ一つ!!」
「今から張り切っているわけですね。」
「うん!…んで、何か用があったの?」
天龍が聞くと、天霧は懐から大量の手紙を出した。
「………。」
「買い物中に天龍の友達にたくさん会いまして。天龍に運動会の準備を頼みたいようですよ?」
「嬉しいけど…日付もろカブリだよ。」
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