シスコン☆プリンス
10
保健室のベッドに金色の髪の白ランの男子、風間 千景が横たわっていた。天龍はその時保健室の悪魔、山南 敬助に体を聴診器で調べられていた。
「ふむ…。何処にも傷はありませんし、異常もありません。」
「良かったな、大空。」
「…はい。」
副担任の永倉にそう言われて一応返事をするが、目はずっと兄、風間のいるベッドのカーテンを見つめていた。
「私は平気でも…。」
「そうだな。…山南さん、風間は平気なのか?」
原田が永倉の腹にボディークローを喰らわせながら聞くと、山南はさらりと「大丈夫ですよ。」と言った。それを聞いて安心したのは天龍だけではない。
「死者が出るところだったぜ…。おい、山崎。さっきの奴等はどうした。」
保健室に入ってきたばかりの山崎を捕まえ聞くと、彼が答えるよりも先に天霧と不知火が来た。勿論三年の女子を連れて。
「おらっさっさと入りやがれ!」
「痛ッ!触んなバーカッ!!」
「んだと…!「不知火、後は先生方に任せましょう。」
天霧にそう言われて、不知火は壁に当たりながら天龍の所へ行き、入れ替わりで土方が女子に近づいた。
「てめえら。自分が何したのか、分かってんのか!?」
「はぁ?あの女が悪いんだよ!あいつがうちらの警告を聞かなかったのがな!」
「警告…?」
天霧が天龍を振り返る。天龍は恐る恐る天霧の袖を掴みながら、この女子達に呼び出されて、風間に近付くなと言われたことを明かした。それを隣で聞いていた不知火は不意に立ち上がると、ギロリと女子達を睨んだ。
「はぁ?!何言ってんだ、コイツラ。お前よ〜こいつは…「不知火ッ!!「…おっと。」
天霧に止められて不知火が口を塞ぐ。と土方がずっと三年女子を睨み続ける。
「てめえらに人の行動を縛る力はねぇ!!…人を殺しかけてんだぞ、その意味が分かってんのか!!」
土方が怒鳴り散らすと、さすがの女子も黙った。と、後ろから山南が微笑みながら近付いてきた。
「そうですね。今回の事はさすがに許されませんよ。まぁ…許して欲しいなら…この薬の実験台「山南さん!!「…冗談ですよ、土方君。」
とても冗談に聞こえませんでしたよ、山南先生。だって眼鏡が光ってるんだもん!
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