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シスコン☆プリンス
9
『懐かしい…。』

そう思いながら兄貴の部屋へ向かう。お盆には好物のカステラを一ケース乗せてある。

『俺が原因でシスコンになったのか…。』

まぁ、前みたいな冷たい兄貴よりは…いや、どうかなぁ…?

「ちぃ兄、開けるよ。」

一応声を掛けてから部屋に入る。中は白を基調としたシンプルなデザインで、つい一昨日まで壁一面に俺の写真が―っ!!(ゾクゥッ)

「…?」

机の上にお盆を置いてからベッドに寝ている兄に近付く。寝息が微かに聞こえる…。金砂の髪が月明かりを受けて輝き、呼吸に合わせてさらさらと動く。不覚にもその姿に見とれていた。

「寝ちゃったの…?」

「いや、起きている。」

「嘘寝かいッ」

風間は起き上がると大きく伸びをして天龍を見た。本当は寝ていたのだろうか、目が(いつもより)細く見える。

「夕餉は終わったか?」

「うん。九寿の美味しかったよ?食べれば良かったのに…。」

「要らん。」

「カステラは?」

「―……寄越せ。」

はいはい…と言いながら兄の前にお盆を持っていく。兄貴は何も言わずにカステラを掴み、茶を啜った。(うまそ…)
暫くして腹が一杯になったのかすぐに横になってしまった。

「ちぃ兄〜。食べた後すぐ横になると牛になっちゃうよ〜!」

「なるか。」

くそっ…いくら食べても痩せてるとか狡くない?!俺なんてこの頃増えてきて困ってんのに…。

「ちぃ兄…ありがとう。」

「……。」

何となく口を衝いてきた言葉。久々にそんな言葉を聞いたせいか、兄はゆっくりと天龍の顔を眺めた。

「そんな言葉を言われる事をした覚えがないが…?」

「ううん…。してくれてるよ、毎日。」

小学校も、中学校の時も。兄貴達が守ってくれてたから今の俺がいる。…ちょっと過激すぎると思うところもあるけど…俺を想ってしてくれてるんだよな…///。――…あれ、おかしい。もしかして…俺ってブラコン?!

天龍が自問していると、風間が笑った。

「お前と同じ学年になるまで俺は留年し続けるぞ。」

「その前に退学にされるかもね。」

土方先生に。と、心の中を読んだかのように、表情を曇らせた。

「土方などに追い出されるものか…。」

「せめて'さん'つけようよ。」

「つけるか…あんな奴に。」

「…まぁ、それの方がちぃ兄らしいよね。」

「?」

天龍はカーテンを開けてから布団を正す。きっと大丈夫。明日からは楽しい学園生活が始まるよね!!

「これからもよろしくお願いしますね、生徒会長!」

そう言うと、一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにいつもの細さに戻った。

「無論だ。」



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