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シスコン☆プリンス
2
「なっ…七番って―!!ステージの目の前!!」

不吉な予感は当たった。おのれ…あの二人分かってて渡したな。兄貴もわざと他の三年に渡さないように細工したに違いない。なんという奴等だ。

『まぁ…。それで学校にちゃんと行くなら良いや。』

権力濫用してるけど。

「君、一年生?」

「?はい。そうですけど…。」

唐突に隣の席に茶髪の男が座る。と、上履きの色が違うことに気づいた。どうやら先輩のようだ。(ついでに一年生は白。二年生は赤。三年生は黄色である。)
周りを見ると、やはり皆バラバラに座っている。と言うのもこうして席をバラバラにするのは学年問わず仲良くなってもらおうという校長の発案らしい。と、隣の席に座った男が下から顔を覗き込んできた。

「僕は二年の沖田 総司。君は?」

「かっ…。大空 天龍です。宜しくお願いします、沖田先輩。」

「宜しくね。」

…あぶねぇ〜!危うく'風間 天龍'って言うところだった。天龍の心臓が早鐘を打っていると、総司はじっと天龍を見つめてきた。天龍は、ちょっとその瞳にドキッとしながらも咳払いをして理性を働かせた。

「何か私の顔に付いていますか?」

「うーん…。誰かに似ているなぁと思って。」

「きっ気のせいですよ!!」

必死に誤魔化して前を向くと、すぐに校長の話が始まった。

「これより、薄桜鬼学園入学式を始める!」

そう言って校長、近藤 勇は教師をステージに呼び集めた。どうやら最初は教師の紹介らしい。と、一人目に目を惹く男性が立った。

「古典教師の土方だ。」

『ひっ…土方さんっ!!!』

「?どうしたの、天龍ちゃん。」

「いっ…いえ///」

顔が赤くなる。目の前で見れてスッゴい幸せ!兄貴ありがとう!!←現金な奴

「チッ。土方め。」

…なんか隣から舌打ちをした音がしたけど無視しとこう。と、ステージ上で土方も沖田に気付いたらしく嫌そうな顔をした。
その後は英語教師の原田 左之助、体育教師の永倉 新八、保健室の先生山南 敬助など、所々しか聞いていない。

「次は生徒会長から新入生へ歓迎の挨拶だ!」

「!!!」

最っ悪。これが目的か。あんのシスコン兄貴…次から絶対カステラ弁当に入れてやらねぇ!!←好物。
風間は白ランを翻しながらステージに立ち、マイクの前に立った。

「新入生、よくこの薄桜鬼学園に来た。歓迎してやる。」

なんて上から目線の生徒会長なんだ……。

…あれ?でも意外と皆黙って聞いてるな。と、風間が天龍に気付き微笑んだ。実際見慣れてるし、うざい。とか思っていると女子がざわめき始めた。しかも全学生。…嘘。もしかして、あの性悪俺様シスコンがモテてる!?だが、風間はざわめきをものともせずに演説を進めた。

「俺はこの学園に長くいるが、それには理由がある。」

授業出てないから単位が足りないんだろ。そんなんで卒業出来るほど現実は甘くないぞ。

「この学園は素晴らしい。」

え?あぁ、そう。…………何?!あの兄貴、気でも狂ってんじゃないか!?'学園は素晴らしい'?!嘘つけぇ!!嘘つきの口から生まれたような男がいきなり思ってもない事を―っ!
風間はそんな天龍の心中を知らずに続けた。

「素晴らしい点は挙げたらきりがない。それらはお前達で見つけろ。…精々残された学園生活を楽しむと良い。」

もっと優しく言ってみろよ!!ってか残された学園生活って、まだ始まったばっかりだよ!!それに何処が'素晴らしい点'かを挙げてみろよ!だが、そんな天龍とは裏腹に周りの女子はキャーキャーと黄色い歓声をあげていた。

「なっ…なんで?!」

「あれ、知らない?ここの生徒会長、滅多に全校生徒の前に姿を現さないんだよ。」

沖田がそう説明してくれるが…何故だろう。黒い。

「僕はあいつ嫌いだけど。」

ですよね〜。兄貴、男からの評判最悪っすけど。



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