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シスコン☆プリンス
10

「天龍ちゃーん!!やっと会えたわね!!」

「千姫ちゃん…?苦しいぃ…。」

「あら、ごめんなさいね!嬉しくて思わず腕に力が入っちゃったわ♪」

「千姫様…どうぞこちらでお寛ぎください。」

「ありがとう、君菊。」

「ありがとー!」

にこりと微笑むと君菊は三折をついてからその部屋を出た。
天龍は風間家を離れ、次の候補千姫家にいた。つい数日前まではむさ苦しい男共に囲まれていた天龍にとって、千姫家は新鮮であった。

「ねぇー、千姫ちゃん!ここは女の子しかいないんだね!」

「そうよ!女の子にはとっても過ごしやすい所でしょう。」

「うん!」

天龍は千姫と一緒に部屋の中でお茶を飲んだり、お菓子を摘まみながら双六をやり始めた。


*****


『双六飽きちゃった…。』

「ねぇ千姫ちゃん!」

「お千で良いわよ!」

「お千ちゃん!お外で遊びたい!」

「うーん…外は危ないから出ない方がいいわ。双六に飽きたなら、今度は百人一首でもしましょう!」

「う、うん!」

天龍は君菊がお茶を淹れている間、じっと外を見つめていた。風間達といた時は常に外で疲れるまで遊んでいたので、家で遊ぶのは退屈で仕方なかったのだ。
その夜、千姫とお風呂に入った後、すぐに布団に入ったので驚いた。

「もう寝るの!?」

「えぇ、そうよ。子供は早く寝なきゃ!」

『どうしよう…眠くならない。』

いつも布団で寝ていなかったので、この柔らかい布団の中で寝るのに慣れなかった。(起きたらいつの間には布団の中にいたことはしばしば。)
そして、いつもなら風間か天霧、不知火が添い寝をしてくれたのに、ここではない。
何もかもが初めてで、不安で、怖かった。

「おやすみ、天龍ちゃん。」

「おやすみ…お千ちゃん。」

部屋の灯りを消されて怖くなる。さらに襖も閉まっていたので、部屋の中に月明かりが入らずもっと怖くなった。
























それが数日続いたある夜、真夜中に突然の尿意に襲われた。

『カルタの間にジュース飲みすぎちゃったせいかな…。』

布団の中でもぞもぞしながら何とかやり過ごそうかと考えたが、無理そうだ。天龍は仕方なく隣で寝ている千姫を起こさないようにそっと布団から這い出ると、外に続く襖を薄く開けた。




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あきゅろす。
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