シスコン☆プリンス
6
天龍をどちらが引き取るか。
その試合のやり方が決定した。
風間家と千姫家に一週間ずつ預け、天龍自身に決めさせると風間と千姫が大人に説明した。大人が決めるとろくな事にならないと思った子供達が勝手に決めていたのだ。
*****
「まずは我々か…。」
「そのようですね。」
「先にやると絶対ぇ印象薄くなるよな。」
「不知火、そんな後ろ向きな考えやめてください。」
「へーへー。っと、天龍、来いよ!」
風間、天霧、不知火は天龍を連れ出して近くの公園に来ていた。家にいると大人が煩いからだ。
不知火は天龍を呼ぶと、天龍はにこにこしながら不知火に近づいてきて抱っこをせがんだ。
「きょー!抱っこォ!」
「いいぜ、ほらよっと!」
不知火は天龍を抱き上げると、後ろからどす黒いオーラが漂ってきた。勿論誰かは分かっている、風間だ。どうも独占欲が強いらしく自分以外が天龍に触れるのが気に入らないらしい。
不知火はそれを分かっていながらわざとらしく天龍を風間から離した。
「天龍!滑り台行こうぜ!」
「うん!」
「………。」
「…風間、そんなに眉間にシワを寄せないでください。天龍が泣きますよ。」
「むっ…。」
天霧が天龍の名前を出すと、風間は眉間を両手で押さえて必死に伸ばしていた。
前までは何を言っても従おうとしなかった風間が、天龍の名前を出すといきなり大人しくなる。天霧はそれを微笑ましく思いながら風呂敷に入っていた弁当を広げ始めた。それを見て風間は嫌そうに目を細めた。
「天霧…。」
「お昼ご飯も食べないで、夕飯まで持つのですか?…不知火!天龍!ご飯ですよ!」
「あいよー!行くぜ、天龍!」
「行くー!」
二人は滑り台から降りると、真っ直ぐに天霧の所へ来た。
ここは小高い丘の上にある小さな公園で、あるものと言えば滑り台、ブランコ、ジャングルジム、鉄棒ぐらいだった。
天霧は町がよく見える丘の端の方でシートを広げた。その間風間は弁当を持って立っていた。
『よし…食べ終わったら今度は俺が…。』
おにぎりを頬張りながらちらりと天龍を見ると、天龍もちょうどこちらを向いていたのか、目があった。
「にぃにぃ!おいしいね!」
「…。そうだな。」
「「………。」」
風間と天龍が微笑んでいるのを見て、自然と皆和やかな雰囲気になった。そんな時だった。
「千景。」
「…何ですか、頭領。」
風間の父親が天龍の後ろに立っていた。風間の父親だからと言って父様等とは言えない。昔から上下関係には厳しかった。たとえ自分の子供と言えど頭領と呼ばせていた。
「どうなさったのですか、頭領。」
天霧が聞くと、頭領はちらりと天龍を見てまた風間を見た。
「暫くこの娘を借りる。」
「…駄目です。」
「千景…お前はまだ分かっていないようだ。…頭領に逆らってはいけないと、何度教えたら分かるんだ。」
「今回は…絶対に許さない。」
「口の聞き方も忘れてしまったようだな。」
頭領が指をパチンッと鳴らすと、何処に隠れていたのか屈強な体をした男達が風間ら四人を囲んだ。風間は天龍の手をとって立ち上がった。天霧と不知火も一緒に立ち上がり背中合わせに立った。
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