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シスコン☆プリンス
5
数分後、彼は窓から入ってきた。
腕の中には愛くるしい笑顔を浮かべている天龍が両手を伸ばして風間を見ていた。
当時六歳の風間は三歳の天龍を部屋に放して眺めていた。天霧は時々天龍の相手をしながら忙しそうに歩き回った。
そんなある日、暇で死にそうになっていた風間は、何気なく、ほんの気紛れで天龍に手を伸ばした。すると、天龍は笑顔を浮かべながら、おぼつかない足取りでトテトテと歩み寄ってきた。

「にぃにぃ!」

「―ッ!!!」

バッと手を引っ込めると天龍はキョトンと首をかしげ風間を見つめた。そして隠していない手を握りまた、

「にぃにぃ!」

と呼んだ。風間は鬱陶しくなり、

「離れろ。」

と言い放ったが、天龍はにぃにぃ、にぃにぃと呼び続け、天霧が戻ってくるまで風間から離れようとしなかった。
その夜、風間は隣で静かな寝息をたてて寝ている天龍の傍でボーッとしていた。それを見つけた天霧が驚いたのも無理はない。天龍が風間の右手を握り、風間はそれを振り払おうともせずじっとしているのだ。
天龍と出会い変わった。風間が少しずつ天龍に心を開き始めた瞬間だった。
そんなある日、天霧が外で一人遊びをしている天龍に近付くと、風間が凄い剣幕で迫ってきた。

「天龍に近付くなッ天霧―ッ…。」

「――…!!」

驚くしかなかった。
今まで何にも執着心をみせなかった風間が天龍には誰も近付けないのだ。その場は天霧が風間に平謝りをして事なきを得たが、その夜、天霧はある決意を胸に秘め、天龍が寝たのを見計らってから風間に会いに行った。

「風間…。」

「…天霧、俺は…。」

「お気持ちは分かっているつもりです。必ずや天龍殿を風間家に迎えられるよう、全力を尽くします。」

「…分かっているなら…いい。」

風間には天龍が必要だ。天霧は風間の肩にもたれ掛かっている天龍を微笑ましそうに見つめながらそっと部屋を出た。



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