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シスコン☆プリンス
4
「私、は…。」

風間の妹ではない…?だって…なら何故今まで一緒にいたの?聞きたい事は一杯あるのに言葉が見つからなくて…。
頑張って出た言葉はありふれたものだった。

「嘘だよね…。」

「…嘘ならば、俺は良かった。」

「…。」

本当なんだ。
私、本当に―…。なら、私は何なの?
が自分でも気付かないうちに涙を流すと、風間がそれをそっと拭った。涙でぼやける視界に風間の姿を映すと、月明かりを受けた風間の顔がぼやけて見えた。

「…昔話をしてやろう。ある富豪の話だ…。」




























昔、風間家は三つの家と交流を持っていた。千姫の家系と不知火家、そして大空家。
交流していたとはいえ、会っているのは親だけで子供同士は会った事がなかった。
そんな折、訃報が届いた。大空家の当主とその周りの者が飛行機事故で亡くなったとの事だった。
問題なのは、そこの一人娘、大空 天龍が生き残っていると言うことだ。上は相談を毎日のように繰り返した。僅か三歳で捨てるわけにもいかず、家を継ぐにも幼すぎる。
そこで考え出されたのが、三つの家何処かで引き取ると言うことだった。誰が引き取るかは次期当主に決めさせるとの事だった。

「不知火家は辞退するそうです。」

「親父がそう仕向けたからな。」

事実、天龍の親権は残った風間家と千姫家の戦いであった。大人は大空家の資産を狙い毎日のように天龍の顔色を窺っていた。
それが風間には気に入らなかった。

「不愉快だ。」

「大人の考えることですから。」

天霧は風間の義兄弟として生まれた時から一緒にいる。だから何となく考えていることは分かった。

「…天霧。天龍を連れてこい。」

「私が叱られます。」

「俺が何とでも言い訳をしてやる。早く金の亡者共から引き離してこい。」

「……分かりました。」

天霧は微笑みながら風間の部屋を出た。




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あきゅろす。
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