シスコン☆プリンス
2
「天龍ちゃーん!一緒に食べよ。」
「天龍…今日の委員会の事で話が…。」
昼休み、一年の教室に沖田、斎藤、南雲(は、いつも通りだが。)が来た。目立つ奴ばかりで注目を受けていた時、三人は天龍の後ろにいた千姫を見つけた。
「君が転校生の子?」
「はい!千姫と申します。よろしくお願いしますね。」
「僕は沖田 総司。よろしくね。」
「斎藤 一だ。」
「―…南雲…薫。」
「?薫、どうしたの。」
千鶴が心配そうに南雲の顔を覗き込むと、南雲は
「今日は止〜めた。何かメンバーが気に食わないんだよね〜。」
と言ってさっさと教室から出ていってしまった。天龍は内心喜びながらもそれを見せないように南雲の背を目で追い、千鶴は心配そうにその背中を見つめていた。
「大丈夫かなぁ…薫。」
「まぁ、僕はあいつがどうなっても構わないけどね。」
「総司…ストレート過ぎる。」
「もう少し抑えられんのか。」
「無理だね。だって僕あいつが嫌いだもん。」
「言い切ったね、千鶴の前で。」
「まっまぁ…薫だし。仕方ないかな。」
どす黒いオーラを放つ沖田を抑え、全員で机を囲み弁当箱を広げ始めると、また教室がざわめいた。
「今度は誰…。」
「直々にきてやったぞ、天龍。」
「げっ…ちぃ兄。」
風間が白ランを閃かせながら教室を横切り天龍達の座っている机に近づいてきた。すると、急に千姫が立ち上がって風間の前に立ち塞がると、風間は目を見開いて千姫を見つめた。
「帰ってきていたのか…お千。」
「久し振りね、風間。お元気そうで何よりだわ。」
「???」
天龍が首をかしげると沖田が横に座ってそっと耳打ちしてきた。
「あの二人って知り合いなの?」
「さぁ…?」
…実は昔に会ったことあるのかな。
と、風間は千姫の腕を強引に引っ張ると有無を言わさず教室から連れ出そうとした。
「ちょ―っ何するのよ!」
「ちっ…ちぃ兄?!」
「…今日の昼飯はパスだ。放課後迎えに来る。」
千姫は必死に抵抗するが、風間の方が力が強い。ずるずるとひきづられて教室から出ていってしまった。
それを天龍はただ黙って立ち尽くして見ていた。と、沖田が笑いながら天龍の手を引き椅子に座らせた。
「まっ邪魔者がいなくなって清々したけどさ。早く食べよ。購買で買った弁当冷めちゃうし。」
「う、うん。」
沖田に促されて弁当に箸をつけるが、先程の光景が頭から離れない。
『本当は…忘れているだけなのかな?』
「いい加減離しなさいよ!風間!!」
千姫は風間の手を振り払うと、周りを見渡した。多分あの話をするつもりならここは生徒会室だ。と、風間は眉間にシワを寄せながら千姫を壁に押し付けた。
「何故戻ってきた…。」
「あら、戻ってくるのは私の自由よ。」
「俺が言ってるのは、何故この高校に戻ってきたかということだ!!」
風間が怒鳴ると千姫の目の色が変わった。明らかに怒っている目付きだ。
「勿論…。あの約束を果たす為よ。ねぇ、風間。ひとつ聞きたいんだけど。」
そう言って睨み付けると、ちょうどそこに天霧と不知火が購買から帰ってきた。二人はただならぬ空気を感じ風間の背に隠れて見えない人物を見ようとした。すると、千姫が口を開いた。
「何で天龍ちゃんが私の事を覚えていないの?!」
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