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シスコン☆プリンス
8
風間が記憶喪失になって1週間が経ったある日。天龍はいつも通り屋上の隅で二人と昼食をとっていると、三年らしい女子が何人かで近付いてきた。

「大空さん、ちょっといいかしら?」

「?はぁ…。」

天龍が返事をすると平助と千鶴が天龍の前に出た。

「天龍ちゃんに何かご用ですか?」

「そうよ、ちょっとお話があってね。」

「…カツアゲじゃないだろうな。」

「違うわよ!さっさと来な。」

天龍は嫌な予感がしながらもそれを二人に悟られないように、二人の肩を軽く叩いてから三年の後に続いた。


*****


「起立ー、礼ー!」

「ありがとうございましたー。」

六校時を終え、天龍は千鶴と平助と共に廊下を歩いていた。すると千鶴が思い出したように口を開いた。

「それにしても…本当に無事で良かったです。」

「だよな!見た目あんなでもハンカチ届けてくれるんだな。」

「世の中捨てたもんじゃないね〜。」

勿論嘘である。二人には本当の事を言わないでいた。あの三年の女子には、いつも風間と一緒にいるのが気に食わないらしく

「二度と近付くな。」

と言われた。だがそれで「はいそうですか。」とは言えない。兄妹だと教えてしまえば一番いいのだがそれでは自分が困る。
時々風間達と帰るのだが、ここまで目をつけられているので、これからは隠れて帰るしかない。

『今まで何とも思っていなかったような奴が…こんな時ばかりちぃ兄に近付く…。』

耐えるしかない。きっと元の性格に戻れば、こんなに女子が積極的にはならないはずだ。天龍は大急ぎで生徒会室に向かった。
























「九寿!匡!」

「よっ!早かったな。」

すでに生徒会室前には天霧と不知火が立っていた。だが肝心の風間の姿がない。天龍は不安に思い天霧を見上げると、その視線に気付いたらしい天霧がにこりと微笑んでくれた。

「風間なら中で仕事をしていますよ。」

「……えっ!?」

「すぐに終わるから待ってろよ。」

天霧と不知火に言われて天龍はそっと扉を細く開き中を覗き見た。確かに中で紙の束と戦う風間の姿があった。

「…ちぃ兄。」



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