シスコン☆プリンス
6
教室に着くと、妙にざわついていた。
『?どうしたんだろう…。』
不思議に思いながら机に鞄を置くと、先に教室にいた千鶴達が天龍に気付いて近づいてきた。
「お早う、千鶴、平助。皆どうしたの?」
「天龍ちゃん!あの噂聞いた!?」
「どの噂…?」
「生徒会長が記憶喪失になったっていう話だよ!!」
「!!!」
あんの眼鏡!皆にばらしたな!確かに口止めはしなかったけど普通喋らないだろう!と、不意に予鈴が鳴り担任の原田が教室に入ってきた。
「おーい!もうHRは始まってんぞ〜!」
「先生ー!生徒会長が記憶喪失になったって本当ですか?!」
一人の女子生徒が皆を代表した形で聞くと、原田は頭をかりかりと掻きながら
「まぁ…そうらしいな。」
と肯定した。すると気のせいだろうか、周りの生徒が小声で相談を始めた。
「ねぇ、今なら私が彼女って言っちゃえば記憶改ざん出来るんじゃない!?」
「俺らが番長って言えば、アイツを部下に出来んじゃないか!?」
「えっ…?!」
天龍が目を見開いて周りの生徒達を見る。余りに身勝手な言葉に驚きすぎて声も出なかった。と、それが聞こえたのか、平助と千鶴も顔をしかめた。
「いくら記憶が無くなったからって…そんな事。」
「勝手すぎるよな。」
「うん。…酷いよ。」
天龍は頷きながら窓の外を眺めた。青い空に一筋の飛行機雲が見える。
『大丈夫かな…ちぃ兄。』
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!