(2)
「ここ、いいのかな?」
広い教室には、机と椅子が6つずつ。
空いていたのは、窓際の1つだけだった。
千恵子は勇気を出して、隣の席に座っていた少女に話しかけた。
「あ、うん。大丈夫。空いてるよ」
少女がにっこりと笑って答える。
小柄で髪が長く、色白のとても可愛らしい少女だ。
千恵子は少しだけホッとして、席に着いた。
机に鞄を掛け、教室の中を見渡してみる。
教室内にいるのは自分を含めて6人。
さっきの可愛らしい少女。何やら話をしている少年が2人。
後ろの席に座っている、背の高い少年。
それに、何故か制服ではなく、スポーツブランドのジャージを着た少年。
どうやら比率的には、男子の方が多いらしい。
「ねぇ、あなたは近くに住んでるの?」
ふいに少女に話しかけられ、千恵子は前を向いた。
「あ、うん。徒歩で通えるトコ」
「そうなんだ。いいなぁ。私はね、実家は京都なの」
「京都!?じゃあ、今はどこに住んでるの?」
「親戚のおじさんの家に居候。どうしても、この学校に通いたかったから」
瞳をキラキラと輝かせて、そう言う少女に面食らう。
千恵子が何も言えず唖然としていると、教室の戸が開かれた。
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