(2)
他のクラスメイトたちも特に断る理由がないのか、否定もせずに机を合わせ始めた。
どうかボロが出ませんように。
ちょこはそう祈りつつ、輪に加わった。
「あれ?アキラ、だっけ?お昼は?」
イズミが不思議そうに尋ねる。
言われてみれば確かに、アキラは輪に加わってはいるものの、食べ物を取り出す様子がない。
「…忘れた」
「購買行って何か買ってくればいいじゃん」
もうすでに弁当を頬張っていたカズが言う。
するとアキラはぶっきらぼうに答えた。
「別にいい。腹減ってないし」
「それじゃあ、コレ一緒に食べないか?」
そう言った和尚の机に皆の視線が集中する。
「…重箱?」
ちょこは思わず呟いた。
和尚の目の前にでんっと置かれたもの。
それはゆうに三人前はありそうな重箱だった。
「うちのお袋が張り切って作ってさ。どう考えても多すぎるから良かったら皆も摘まんで?」
そうして和尚は人の良さそうな笑みを浮かべた。
「わー!いいの!?嬉しい!!」
「本当に上手そうだなあ。ほら、アキラももらったら?」
ひなとイズミが交互に言い、アキラも半分渋々といった様子でおにぎりを受け取った。
「なんか、和尚君っていい人だねぇ…」
ぽつりと漏らしたちょこの本音に、その場にいた誰もが頷いた。
当の本人はそんなことはないと言い張って、照れ臭そうにしている。
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