ハクション大魔王
拍手お礼[帝王院]
メリークリスマス!



「え」
「タイヨー、どーしたにょ?」

カイ庶務から朝イチでプレゼントを貰った親友が、重そうな箱を抱えたまま首を傾げた。

「靴、なくなってない」

珍しく被害がない靴箱、最近サボらなくなった神崎が欠伸を発てながら、小脇に挟んでいた薄っぺらい鞄で叩いてくる。

「クリスマス休暇なんじゃない?嫌われ者のサブボスにも、キリストのご加護があるんでしょー」
「嫌われ者とか、…凹むからやめてよねー」
「タイヨー、何か入ってるにょ」
「え?」

シューズの下に、小さなカード。また剃刀だろうかと考えて、恐る恐る手を伸ばす。
神帝と大々的にラブストーリーを繰り広げた俊の靴箱は、イタズラ所か貢ぎ物の山だ。やっぱり、カリスマカルマファンは多い。

「そっ、そらのきみ!メリークリスマス!」
「猊下っ、こんにちはっ」
「はァい、メリクリィ。今日も休まずハァハァしましょ!にこっ」

オタクスマイルに平伏した皆を横目に、無表情で低気圧を撒き散らしてるカイ庶務…いや、神帝が舌打ちした。
舌打ちなんかするんだね、この人。

「ハッピー、ホリデー。だって」

眼鏡をかけたドラえもんのイラストに、流暢な文字。
こんな可愛げない猫型ロボットに知り合いはいない筈だ。


「何にやにやしてんの?」
「うん。クリスマスって、何か良いな」
「はあ?何か変なん食べたあ?」
「クリスマスはいつでも楽しいにょ!あっ、錦織きゅんおかえりー」
「猊下、購買のカツサンドを買い占めてきましたよ。はい、どうぞ」
「カナタ大好きにょ!」
「そんな、俺の方こそ…!」
「ちょっとー、隼人君だって二人にプレゼントあげたのにー」

賑やかな皆に笑いながら、視線を感じて振り返る。
勿論、そこには観客しかいない。



「メリークリスマス、サンタさん」

カードには記念コインらしき硬貨が貼り付けられていて、これ幾らするんだろうとか考えながら笑った。




「タイヨー、それってば百万ドルコインじゃないかしら?世界に数枚しかないって聞いた事あるなりん」
「俊、そんな小銭で良いなら幾らでも手配させよう。だから私を構え」
「だが断る!」

「百万ドル…って」
「プレミア価格含めたら、一億越えるんじゃない?知らんけどねえ」
「端金ですね。誰のイタズラだか」

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