ハクション大魔王
お礼/宿題帝王院
顔を見ると、つい憎まれ口を叩いてしまう。
「何だジロジロ見やがって、やんのかコラァ」
理由は単純明快、お前が可愛いその唇でそんな可愛くない事を言うから。
「…誰がテメェなんざ見るか、ボケ」
「んだと?ブッ殺すぞ高坂ぁ!」
胸ぐらを掴まれて少し低い位置から睨み付けてくるその、瞳に。
怒りより早く競り上がってくるのは、可愛くて仕方ない、なんて戯けた感慨だ。
「嵯峨崎」
「何か文句あんのか、淫乱!」
キャンキャンキャンキャン、口を開けば悪口ばかりのその唇に目を奪われる。その唇が一度だけ触れたあの時を思い出して急速に心拍数が早まれば、最早為す術無し、
「…死ねや、馬鹿犬」
無意識過剰過ぎる防衛本能で殴り付けて、すぐに舌打ちしてしまうのだ。
「テメェっ、ブッ潰す!」
強烈に凶悪な右ストレートを頬に受けながら、右手で殴った自分の可愛らしさに舌打ちを噛み殺した。
愛しいあの子は減らず口。
僕の左手は動かずに、僕の左頬には真っ赤な手形。きっと暫く消えない、きっとずっと消えない。
「…利き手で無抵抗の人間を殴るか、普通」
呟いて見上げた空は黄昏に染まっている。その燃える様な空に、燃える様な頬を撫でながら溜め息一つ、
「野良犬風情が。…明日噛み殺す」
いつからか僕の心に住み着いた。
(それは“野良”ではない、と)
顔を見ると、つい憎まれ口を叩いてしまう。
(気付きながら目を逸らすのは、)
「………うぜぇな、畜生。」
それは全て、
(愛の所為)
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『夏色時間 前編』
作//遠野俊
「って、何で夏休みの宿題に自作小説やの?!」
「頑張りました!特に攻め受けは決まってないにょ!そこの所はホストパーポーの妄想にお任せしますっ」
「ちょ、俊、前編ってもしかしなくても連作?!」
「タイヨー、中編は鋭意執筆中なり。出来たら持ってくから、待ってて欲しいにょ」
「「まさかの三部作?!」」
誇らしげに眼鏡を輝かせるオタクに、東雲の呆れ顔と太陽の塩っぱい顔が重なる。
「俊、この場合より俺様らしい嵯峨崎こそ攻めに相応しいのではないだろうか?」
「判ってないですわねカイちゃん、攻めは受けより長身っ!これは王道の決まり事なのですっ!」
東雲の手から奪った原稿用紙を眺めていた神威の眼鏡が怪しく曇り、
「東雲教諭、引き続き俺の小論文を拝読願えるか」
「あ、ああ、頼むからお前は普通の作文書いとけよ。難しい研究論文は、」
『寝起きの俊』
作//ブラック=K=灰皇院
今日も俊は可愛い。
余りの可愛さに1分ほど我を忘れた様だ。
気付いた時、明太子唇の俊が深紅に染まった表情で眼鏡を曇らせていた。
余りの可愛さに5分ほど我を忘れた。
中略
『昼食を採る俊』
どうやら本日の食事はAランチ8人前その他諸々らしい。口にあったのか、頻りに美味しいにょと喜んでいた。
スタッフ一同には、後程報奨を与えておこう。
俺は寧ろお前が食べたい。
以下略
「………ただの日記やないか…」
「シノ先生、お疲れ様です…」
東雲の肩を太陽が叩いたその時、
「総長ォオオオ!!!何スかあの出鱈目な小説はぁ!」
「テメェっ、出てこいキモ眼鏡がぁあああ!!!」
教室の前の扉から涙目の佑壱、教室の後ろの扉から怒り狂った日向が入ってきた。
「此処で会ったが百年目ぇっ、高坂ぁ!今日こそ死ねぇえええ!!!」
「テメェが死ねや腐れ下衆犬がぁあああ!!!」
黄色い悲鳴で轟く教室で二人の俺様による何万回目かの戦争が勃発した。
「俊、たった今98章目を書き上げた。感想を聞きたい」
「ヒロインのお名前をタイヨーにしたら萌えると思います」
一年Sクラス、一部を除いて今日もそこそこ平和。
「隼人君も作文書いたよお。『デリシャスボスとセクシー隼人君のエッチな日曜日』、カナメちゃん、読むー?」
「死んで下さい」
『昨日の夢で見た総長』
作//錦織要
まともな奴は居ない。
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