帝王院高等学校
 ├その後┤
淡島様より賜ったコラボ作品、その後の妄想。

-text/ 藤都幟岐-
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「ハァハァハァハァハァ」
「…」
「ハァハァハァハァげほっ、ハァハァハァハァけほっけほっ」
「…」
「にゃあん。にゃあん。ハァハァ、にゃあん!ハァハァハァハァじゅる」
「…総長、落ち着いてまずコーラでも飲んだらどうっスか」

何処か呆然としている男を横目に、遠い目をした嵯峨崎佑壱はストローを差したグラスを掲げた。
だが然し、のんびり寛いでいる様々な品種の猫に眼鏡…サングラスを奪われているオタクには、まるで聞こえていないらしい。

「にゃんこにゃんこにゃんこにゃんこ、ここにもそこにも、にゃんこじゃアアア!!!じゅるりじゅるり」

涎を垂れ流し奇声を上げカフェの隅から隅まで駆け回る男に、痙き攣り笑いを晒した神崎隼人が眉間を押さえる有様だ。
最早、この場を収められる人間など居ない。つくづく、山田太陽の不在が惜しい所である。

「本当に何かすんません(´Д`) …こんな総長ですんません(´皿`)」
「ケンゴ、噛まれてんぜ」

顔を覆い嘆く高野健吾の右足に、シャム猫が齧り付いた。欠伸を発てる藤倉裕也の膝の上には、同じく欠伸を発てる三毛猫。

「ハーレムじゃアアアアア!こーこーはー、天国かァアアア!!!ハァハァハァハァハァハァ」
「総長!はい、チーズ」
「にゃんこポーズですわょー!」

カメラマンと化した錦織要も何の役に立たない。
猫と総長が戯れる姿を興奮げに撮影しては、満足げな溜め息を漏らしている。彼は疑うべくもない変態さんだった。

「あは。あー、思い出したあ。隼人君、今から仕事があったよーなー」
「隼人、テメーだけ逃げられると思うなよ」
「離してえ、隼人君を待ってる老若男女が居るんだよお、ばかー」
「そうかそうか、俺より大切な奴が待ってんのか、なぁ、隼人…?」

凄まじい雄フェロモンをわざとらしく溢れ出した赤毛に、痙き攣ったモデルは、以降一言も喋らなかったそうだ。

「にゃんこにゃんこにゃんこ!げほっ、ごほっ。ハァハァ、ミッキーもお写真撮りません?!」
「ミッキー…?」
「あらん?ヨッシーのが宜しくて?」
「別に、どっちでも」
「僕的にヨッシーよりヨッスィーの方がセクスィーな感じがするんですにょ!猫耳付けてお写真撮らせて貰えませんか?!」
「猫、耳」
「何でもしますから!何でもしますからお願いしますっ」
「何でもするなら、別に」

「跪け」

世界の重力がいきなり増した様な錯覚。
素早く警戒を深めた一同を余所に、いつの間にかサングラスから黒縁眼鏡に変えていたオタクが、メタボな巨大猫を抱き締めながら溜め息一つ、


「カイちゃん、猫耳は平凡受けか健気受けか敢えてギャップ狙った男前受けしか似合わないのょ?」
「すこぶる可愛かろう。俺を飽きるまで愛でるが良い」

2メートル近い長身がピクリとも動かない無表情で猫耳を装備しているが、その光景に反応出来るのはオタクだけだったらしい。

「ヨッスィーが付けたら可愛いと思うにょ。カイちゃんはめーよ、お布団の中だけ俺様攻めなんだから」
「む。何が不満だ。体位か?言葉攻めか?とろろ攻めか?」

変態だ。
猫耳を付けたただの変態だ。顔が良くなかったら殴られているだろう、多分。

「もう、判らず屋さん!可愛いカイは俺だけが知っていればイイ。…他人に見せるな」

素早く眼鏡を放り捨て、然しブタ猫は抱き締めたまま囁いた漆黒の双眸に、見ていた犬達が鼻血を噴いた。


錦織要のダイイングメッセージは、


ウォーアイニー


…だったらしい。



「ふむ、ヤキモチとは愛らしいものよ。そこのヨッスィー、猫耳はそなたにこそ相応しい様だ。受け取るが良い」

無表情で猫耳を差し出してきた美形なだけの変態に、彼は無表情で答えた。



「もう、要らない」




淡島様へ、スライディング土下座。

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