帝王院高等学校
★コラボ小説☆Ｈ.Ｓ様より
【帝王院へ行こう！】
「…という事でやって来ました！帝王院！ビバ！ＢＬセレブ学校っ！」
「天使は俺から離れないように」
「うん。でも燎くんが危なくなったら助けるからね」
現在、広い帝王院の敷地内。
興奮状態の腐男子・雅(みやび)に無理矢理、帝王院学校に潜入(犯罪です)させられたメンバーは溜め息をついた。
雅の友人である志郎とモッサイオタク風味の燎。
志郎の従兄弟でボディーガード役の緋十と幽霊には強いヘタレチキンの田中。
巻き込まれた四人は事の元凶である雅に冷ややかな視線を送るのだった。
「みやちゃん、帝王院学校はセキュリティーが並じゃないからね。長居は無用ですよ」
「本当だよ、帝王院学校は不良多いって有名なんだからな！」
緋十が雅に注意をし田中はうんざりとして呟いた。
「解ってますよー。危なくなったら田中くんに目くらましの術でも使って貰うから」
腐男子・雅はどこへ行ってもマイペースだ。
「呪術はお前の欲を満たす為にある訳じゃないからな。次からは金取るぞ」
若輩ながら有能な呪術者でもある霊能者【田中 道永(たなか みちなが)】は呆れ気味に溜め息をついた。
「……大丈夫かなあ。って、誰か来た！隠れて！」
いまいち、結束力に欠ける一部メンバーに不安になった緋十だが人の気配を察知すると全員を近くの草むらに突き飛ばし、自身も軽い身のこなしで草むらに隠れた。
「…うわー、金髪の人だー。背が高い、美男子、偉そう。」
万年ぽやぽやな志郎は素直な感想を小声で呟く。
清掃され綺麗に整備された道を歩いているのは長身の金髪美男子。
何だかとっても『王子様』という単語が似合いそうだ。
「あの人、見た事ある気がする」
草むらに隠れながら金髪美男子を見て燎は首を傾げた。
どこかで見た事あるような気がするが…思い出せない。
メンバーが草むらに隠れながら金髪美男子を見守って(？)いると金髪美男子の目の前に可愛らしい容姿の小柄な男が現れた。
「光王子様……」
可愛らしい男は金髪美男子の前に立ち、頬を赤く染めながら自分の制服の上着のボタンに手をかけ…。
制服の上着のボタンを外し脱いでしまう。
(！！？)
まさか、こんな外で…ファイト一発？とメンバー(一部除く)が頭をグルグルさせ始めた。
雅じゃあるまいし他人のアハン、ウフンを見る趣味なんて皆無のメンバーは可愛らしい男が素っ裸になった瞬間に脱兎の如くその場を走って逃げ出した。
―――――間。
「はあはあ、ビックリしたー」
武道の道を一筋に生きて来た為に性欲がかなり弱い緋十には先程の光景は少し刺激が強かった。
「って…みんなとはぐれちゃったよ…」
田中はいざとなったら呪術使って何とかするし、雅と志郎には燎がいるから大丈夫だろうと緋十が携帯を取り出した瞬間。
「面映ゆい」
とてつもなく破壊力のある(フェロモン的な意味で)良い声が背後から聞こえた。
「っ！！」
携帯を取り出した緋十がピタリと動けなくなった。
仮にも武道経験者の緋十には背後に立っているであろう人物の強さが計り知れない事だとか、戦えば己が負ける事は目に見えている実力差とかは、解る。
(…………まずい。)
何か仕掛けられる前に逃げなくては…と緋十が視界に映る全てを見、じり…と足を前に踏み出す。
しかし、背後の人物はそれを許さなかった。
「…！？」
背後の人物は長い足を緋十の腹辺りを狙って回し蹴りを繰り出して来た。
(うひゃああぁっ！)
緋十はヒョイっと跳び蹴りから避けたものの跳んだ後、着地する際に石に躓き。
ズシャアアアァッ
見事な顔面スライディングを果たした。
「………………」
「…………………」
しーん、と二人の間に妙な沈黙が暫く続いた。
(……うう、ついてない)
緋十がぐすん、と半泣き気味に起き上がる。
最期に勝者の顔でも拝んでやろうとチロリと後ろを見た。
「うひゃああぁっ！」
想像を越えた美男子だ。銀髪だ。
思わず緋十は悲鳴を上げてしまった。
外見も美しくてスタイルもバッチリ、それでいて品の良い物腰。
銀の髪に蜂蜜色の瞳がとても神秘的な長身。
「まず、身長からして勝てないよー！」
１６０ｃｍをちょい越えた身長の緋十は負け台詞を吐き涙ながらに逃げ出した。
その後、銀髪美男子に恐怖を感じた緋十ははぐれたメンバーを素早く回収し帝王院学校を後にした。
――――余談。
「…あれ、田中どうしたの？お札が数枚無いよ」
「あー、何か赤毛の人がさー女の生き霊を沢山後ろにくっつけてたからこっそり祓ってお札貼って来た」
「田中、親切ー」
おわり。
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