帝王院高等学校
★コラボ小説☆クム様より
クム様より賜りました!
クム様宅の楓君とうちの阿呆共のコラボレーション作品!生きてて良かった…!

クム様から改訂してもいーよ生ゴミ、と言うお言葉もありましたが私何せ才能ないので、最後のほーで潔く腹切ってます。


クム様、有難うございました!



RAVEisutowa
  クム様のサイトです。





初めて会ったのは、何かの用事のため県外に行っていた夜。
すっごく暇で、繁華街をプラプラ歩いていたとき。

どうせ目立たない平凡顔。
目立たないようにしていれば絡まれることもないし、たとえ絡まれても負ける気がしない。


そしうして歩いていると、路地裏から人の声が聞こえた。
それに紛れて、人の肉を打つ鈍い音も。


「良い音♪混ざれないかな〜?」


“あわよくば”
そういう気持ちで足を踏み入れた。
案の定、そこは戦場と化していた。


「まさに、血沸き肉躍る、だぁね。」


そう呟くと同時に、足元に軽い衝撃。
下を見ると、茶色頭が転がっていた。


「おーい、おにーさん。大丈夫〜?」


あまりに怪我が酷いため、戦闘対象外だと心配して声を掛けた。
それなのに、誰と勘違いしたのが知らないが、靴に唾を吐きかけてきた。
しかも、その日に履いていた靴は運悪く、竜兄に貰ったお気に入りの靴だった


「・・・あんたサァ、誰の靴に、てゆーか、誰から貰った靴に唾吐いたか分かってんの?」

「し、知るかよっ。その、趣、味、悪い靴・・・デコレーションして、や、ったんだよ。」


目の前がスパークした。
あぁ、これはもう・・・


「“地獄”魅せてあげるよ。」


止マレナイ。


竜兄曰く、“良い笑顔”を浮かべ、唾を吐かれた方の脚を後ろに引く。


「あんた自身を綺麗な真っ赤にデコってあげる。」


そう言って鳩尾を狙い、思い切り蹴ろうとした。
でも、その脚が届く前に茶色頭は後ろへ飛び、代わりに、銀髪が居た。


「何やってんダァ?その人は一般人だろーがァ。」


そして、圧倒的な支配力を持つ声が聞こえた。


「すまない。躾のなっていない駄犬ばかりで・・・。お怪我はありませんか?」


いつの間にか、茶色頭はすっ込み、銀髪が膝をついて上目遣いにこっちを見ていた。


動けなかった。


もしかしたら、殴られていたかも、蹴られていたかも。
それなのに、警戒すらできないほど圧倒的。
敵わない。
竜兄すら霞んでしまいそう。


「大丈夫ですか?」

「・・・あぁ、はい。」


再度話しかけられて、やっとそれだけ言うことができた。

固まって動くこともままならない俺の様子を見て、その人はクスリと笑った。
あえて言うならそれは、愛猫の仕草を見て微笑むようなものだった。


「綺麗な黒だ。」


そう言い、手に取った一房の髪に口づけする様は、まるで忠誠を誓う騎士。


「・・・ドーモ。」


あまりにストレートな言葉に、いつもの口調を忘れた返事をしてしまった。
ついでに、恥ずかしくて俯く。
ドコの乙女だ俺は・・・。





「お茶でもしに行こうか?」

「はっ?」


俯いていた俺に掛けられた突拍子も無い提案。


「もし俺のナンパに引っ掛かってくれるなら、お茶でもしに行こう。美しい黒のためなら幾ら使っても惜しくない。」


別の意味で動けなくなっていると、後ろから怒号が迫ってきた。


「総長!!何やってんスか?!おいっ、そこの平凡!てめぇ総長に何かしやがったら、生まれてきたこと後悔させてやらぁ!!!」
「総長、今すぐ離れてください!不用意に他人を信用するのは危険です!」
「そーうちょー。相手なら隼人君がしてあげるからぁ、そんな奴から今すぐ離れなさぁい?」
「総長!浮気はだめっしょ(ノд<。)°。」
「総長・・・危ないっすよ。」


なんて奴等・・・。
どいつもこいつも美形のくせに凶悪なツラしてる。
そんな奴等に尊敬・・・いや、執着されているんだ、この銀髪は。


知りたい


、かもしれない。


「ああ、うるさい番犬が来てしまった。人が口説いている時に来るなんて、なんて無粋な奴らだ。」


一度でも興味を持ってしまえば、“サァ”と延ばされた手を取らないわけにはいかなかった。


地元の人間しか知らないような通りを踊るように走り抜けると、しつこく追って来ていた怒号は確実に遠のく。
公園に着き、銀髪が立ち止まるころには、辺りは静かになっていた。


「やっと離れたなァ。ウチの番犬はしつこいッたら無い。」


前髪を掻き上げる姿は色々な意味で壮絶だ。


「なぁんで俺を拉致ったのー?」


その姿を見ているだけで、何かに犯されそう。
それを紛らわすために話しかけた。


「やっばいなぁー♪俺ってばそんなに可愛かったぁ?」

「ああ。誰の目からも隠したくなるほど美しい黒猫だ。」

「っはぁ?!ね、こぉ?」

「黒、この後はどうしようか?ナンパしたはいいが、生憎こういう経験は少なくてな、どうすればいいのか見当もつかない。」


俺のことを“黒”と呼ぶその人はサングラスを外した。


「っ!!ぅ、嘘だろぉ・・・?」

「どうした?」


その下から現れたのは、叫んでいた美形も、竜兄も葵さんも及ばないほどの美形。
というより、そう錯覚させるほどの深く強く美しい瞳。


「執着も崇拝も、全部納得できたよ。」


これは、勝てねぇ。
天変地異が起こっても勝てない気がする。


「あんた何者?」

「遠野俊。カルマというチームで駄犬の世話を見ている。」


駄犬て・・・
あいつら全員そうなのかよ。


絶対に勝てないと悟ると逆に気が抜けて、情けないことに、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。


「いきなりどうした?大丈夫か黒。」

「・・・ぇ、で」

「ん?」

「楓。俺の名前。あんたになら、俊さんになら呼ばれても良いかな♪」

「そうか。」


そう言ってふわりと微笑む顔を眺めると“いっそ自分もこの人に囚われたい”などと馬鹿なことを考えてしまう。


「ところで楓。今気付いたんだが、俺は財布を持って来ていなかった。どうしよう?」


そんな顔に似合わない間の抜けた言葉に爆笑して、俺がコーラ0とカフェオレを買って来て公園でひたすら話した。
話すことは何故か尽きず、深夜2時を回った頃、やっとホテルに戻った。
その日からは毎夜繁華街をふらつき、公園に行って深夜まで話していた。

でも、所詮は期限付きの逢引き。
帰る前日の夜になってしまった。


「帰りたくない・・・かも。」


いつもの公園で俊さんのお腹に抱きつき、半ば膝枕状態で話していた。


「なら、ここに居ればいい。楓が居なくなっては俺も淋し死にするぞ。」

「なぁにそれー?病気?」

「ああ、楓欠乏症に掛かると併発する病だ。・・・本当にここに居たいなら心配するな、俺が養ってやる。」


何気なく発せられる甘い言葉にもだいぶ慣れた。
それでも尚、胸は高鳴るけど。


「まぁ、帰るけどねー。俺が居ないとダメになっちゃう兄貴も居るし。」


でも、やっぱり・・・


「淋しいよー俊さん。」

「俺も淋しい。胸が張り裂けそうなほどだ。」


サングラスを外した目と見つめあう。
もう二度と、この光を感じることは無いかもしれない。


「だから、証を貰ってくれないだろうか?」


そう言って差し出されたのは、ブレスレットには少し大きいぐらいの首輪。
完全に猫用だ。


「にゃぁに、これ?」


ちょっと猫語にしてみた。


「楓に似合うと思ったんだ。」


濃いピンクで、キラキラした装飾が施されてある。
表面には“Kaede”と彫ってあった。

ふと、数日前に言われたことを思い出した。


『楓は綺麗な黒猫だな。鮮やかなピンクが似合いそうだ。』



「貰ってあげてもいーよ。」


この人相手に拒否する言葉なんて、言えるはずがないだろう。


「ありがとう。」


そう微笑むと、いきなり足元にしゃがみ込み、サンダルを履いていた素足の足首に首輪を巻きつけた。
そして、オマケとばかりに脚の甲に軽い口付け。

いくら言葉に慣れた俺でも、こんな行動をとられては赤面必至。


「しししししっ俊さんっ!!!何やってんの!?」

「誓いの口付け。」

「なんでそんな恥ずかしげもなく言えるの!?」

「真剣だからな。」

「そういう問題じゃなくてっ!・・・はぁぁぁぁぁ・・・もう。」


結局反論しきれずに出た、深ーい溜め息。
そんな俺の頭を撫でる手に愛しさが募る。


「俊さん。」


どうにかして伝えたい。


立ち上がり、首に抱きつきながら囁く。


「一回しか言わないからよーく聞いてねー。」

「ああ。」

「俺さぁ、俊さんが大好き。竜兄も大好きだけど、それとは全然違う好きなんだー。初めてだよ、こんな気持ちになるの。本当に大好き。」


もっとギュッと抱きつく。


「だから、俺の“初恋”俊さんにあげる。」


そしてゆっくりと離れた。
人生で一番恥ずかしいんじゃないかと思うセリフを言った。
顔が上げられない。


「楓の初恋を貰えるなんて身に余る・・・光栄だ。」


よし、と心の中で呟く。
ここまでやったんだ。
もう何をやってもそんなに恥ずかしくない!!・・・はずだよな。

俊さんの目を見据え一歩前に出る。
少し背伸びをして、人生で初めて自分からキスをした。
もちろん唇に。


「俊さん、大好きー!たぶんずぅぅぅっと大好きだよ!この数日本当に楽しかった♪ありがとー。さよならっ。」


そう叫びながら走り去った。
それが最後。


◆◇◆


「おい、楓。レムに行く時間だ。起きろ。」

「・・・んぁ、竜、兄?」

「ああ。早く起きろよ。」


夢を見ていたのか。
竜兄の声で覚醒した。


懐かしくて、甘い人。
“俊さん”
俺を黒猫にたとえた人。


「ま、もう黒じゃないけどねぇ。」

「は?何がだ?髪か?」

「うん。」


竜兄に目を遣ると、微かに俊さんのイメージが薄くなった。


「やっぱ、俺の一番は竜兄だよー!!」


“どーん”と効果音を付けて飛び乗った。


「重いっ!」


あれ以来、一度も会っていない。
住んでいる場所が違うのだから、当然と言えば当然だ。
貰った首輪も机の中に仕舞っている。


でもいつか、叶うのならば、もう一度会いたい。
もしまた会えたら、竜兄を紹介しよう。
俺の大切な日だ、と。
きっと気が合う。

俺の初恋の人と大切な人。


「竜兄大好きっ!!」


いつか三人で笑いたいなぁ。




一方、どう足掻いても格好良くならないカルマ共は…→

←いやん(*)(#)ばかん→
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