帝王院高等学校
☆六月様より
何時だって、この腕に恣に翻弄されて、抗えないのはきっと、抗う事すら、無意味だと識ってしまったから…。

その腕に抱かれ、その胸の鼓動を子守唄にして眠る事を教えられて…。

自らの深淵に刻み込まれた激情は楔の様に絡み付き、自らを縛りつける。




今宵も又……。






「…堕ちてくればイイ…。深く、闇よりも暗い此処に…。その眼差しも、声も、お前を構成する総てを差し出せ。」
耳元で囁かれるバリトンが、虚ろな意識に響く。
「お前の世界を壊して、お前を絡めとる全てを排除して仕舞えば、後は何が残る?」
甘く、睦事を語りかける様に囁く声が鼓膜を震わせ、緩やかに体を撫でる細く長い指先が触れる度に、耐えきれないかの様に体を震わせているにも関わらず、甘美な責め苦が終わる事はない。
ゆるりと与えられる、拷問にも久しい快感が、愉悦が、深く深く意識が堕ちていくのを邪魔をする。
激しく奪われ、その激情を受け止めた躯は休息を欲しているというのに。
意識の底まで晒し暴き、この声が嗄れるまでに啼かせて尚、足りないと……。
「…ゃ……ぃ、も……ぁぅ…っ…」
空気を震わせるだけの哀願が、弱々しく震えてシャツの裾を掴む腕が、限界なのだと言外に告げているのに。
「…己が人でなく人であり、それ以上に獣だとは、お前が居なければ知らぬままに過ごしていただろう。だからこそ……。」
言葉は途切れ、躯がこれ以上ない程に反る。
「…っ…ぁぁぁっ…ぃ、ゃぁぁぁっ……。」
予告もなく激しく揺さぶられ、深く穿られる。先程までの緩やかな、快感と呼ぶことすらもどかしい刺激とは違い、目蓋の裏をも焼き尽くす激情。
「戯れは赦そう、だが、それ以外の感情は誰にも与えるな。……啼いて、赦しを乞えても、次は……無い。」

←いやん(*)(#)ばかん→
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