帝王院高等学校
 ├2┤★二匹目
illust/柳屋様
text/藤都幟岐





「そ、総長…っ、出して下さいっ」

無駄にデカイ牢獄、つか鳥かごの中に捕まった佑壱の姿が見える。
ロープやらガムテープやらでグルグル巻きにされた佑壱は、檻の向こうに佇む怪しい影へ叫んだ。



ワンコの次は不死鳥を飼うつもりなのか。



「…ふ、最早チミは萌の生け贄にょ。そこからチミはただ静かに見ていればイイ」
「総長…?!何を企んでるんですかっ、つかこの衣装何なんスか!」

赤い衣装に着替えさせられた佑壱の頬は赤い。
下着まで剥がれてしまった数分前を思い出し、小6でぽい捨てした筈の童貞を忘れ彼は林檎になった。
因みに佑壱のボクサーパンツは俊の右手にある。ノーパンかどうかは秘密だ。


「パンツ返して欲しければそこで大人しくしてるにょ」
「いや、無かったら無かったで困りませんが…いや、総長が逆に困るんじゃないかな、とか、あ、あはは…」

何だか今日の俊は輝いている、気がする。主に眼鏡が。
いつものオタクさを無視し亭主関白なオタクにワンコの頬は益々レッドだ。

今なら狼になる自信がある。



「イチ、今から番いを連れてくるから待ってなさい。…うふ腐、萌狩りじゃアアアアア!!!」
「そ、総長…!」
「最早俺は総長じゃないっ、萌に駆ける哀れなハンターだァアアア!」


しゅばっ、と駆け出した俊に佑壱の悲痛な叫びが続いた。



「やっぱ下着返して下さい総長ぉおおおっ、トイレ行きたくなったんスーっ」









所変わって、ティアーズキャノン一階、正面玄関。


「隣のシュンシュン〜シュンシュン〜、シュンシュン〜シュンシュン〜♪ 不良の時にだけ〜日向に訪れる〜、可愛いシュンシュン〜♪」

今日も格好いい副会長がジブリだかサプリだかを歌いながらやっぱり格好良く歩いていた。

親衛隊一同が黄色い悲鳴やら感嘆の息を吐いていたが、



「…あ?」

副会長の鼻歌が止んだ。
見れば、正面玄関に一枚の写真が落ちている。





『カルマのアイドル秘密の写真』

と、書いてある様に見えた高坂日向の視力は2.0。
カルマのアイドル、つまり、





「………」

副会長が拾い食いしてはいけない。
いや、写真は食べられない。
でももしシュンシュンのベストショットだったら3発はイケる気がする、なんてお下品。

オカズ。
拾いオカズなんて中央委員会副会長がしてはいけない。



「お、落とし物は、届けなきゃなんねぇよな、うん」

大義名分を呟きながら、日向がつつつ、と写真に近付いた。
デカイ籠の存在など目に入らない。その籠が長いロープ装備など、目に入らない。



「し、シュンシュン…」

日向の左手が写真に触れた。
と同時に視界が暗くなる。



「何だ?!あ?つか、これ嵯峨崎の写真じゃねぇかっ!」

佑壱の今正にパンツを剥がれそうな写真に吐き気を催した日向は、自分がデカいザルの中に居る現実に目を見開く。


「誰だコルァ!ぶっ潰すぞ、俺様が誰だか判ってんのかっ!」
「お黙りなさいにょ。イケメン現行犯逮捕します」
「…シュンシュン?」
「神妙に俺のモノになりなさいっ、ピナタァアアア!!!」
「ぶっ!」


副会長がザルの中で鼻血を吹いた。



二匹目予告


次号
オタクの生け贄になった嵯峨崎佑壱、高坂日向の運命や如何に!
ノーパン佑壱の身に何が?!
鼻歌副会長、新曲リリース?!
そしてオタクの思惑は?!
次の犠牲者は…!!!
眼鏡が割れるかも知れない次回、乞うご期待!


二匹目征っとく?

←いやん(*)(#)ばかん→
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あきゅろす。
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