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溺愛王子と純情乙女テディベア 《完結》
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 その後、パレードも無事終わり、ノエルとシルヴェスターは漸くシンクレア家から解放された。ノアとジェイクもマリアンヌに拉致されて色々と扱き使われたらしく、自分の家に戻った時にはぐったりとしていた。ノエルとシルヴェスターもクタクタだ。結婚式も披露宴もパレードもとても賑わっていて、数週間はお祭り騒ぎ状態だろう。王太子の結婚式と言う事もあり、王宮には世界各国からやって来た王族達が滞在している。中にはこの国を観光する者も居るだろう。物凄い経済効果だと思うが、ノエルは自宅でのんび過ごしたかった。漸くマリアンヌから解放されたのだ。エリックとシャロンとはこれからも何かしら関わる事になるだろうが、他国との交流で暫くは会わないだろう。

「シャロンさん、本当に綺麗でしたね」

「まさかドレスに合わせてオーダーメイドで装飾品も作るとはね。驚いた」

「ドレスを見た方達が『これではドレスに不釣り合いだ!』と言って、一つ一つ丁寧に作ったそうですよ。凄いですね」

「別に今ある装飾品でも似合うと思うんだけどなあ」

「職人魂ってヤツでしょう。マリアンヌさんとエリックさんがとても喜んでいましたよ?」

「まあ、二人が満足しているならそれでいいけど」

「新聞にもドレスとテディベアの話題で持ちきりですね」

「やだなあ。エリックさんが王太子だって知ってたら絶対に作らなかったのに……」

「俺は、嬉しいです。ノエルさんが作ったドレスが褒められて、みんなの心を鷲掴みにして、話題になって。こんな素晴らしいものを作れる人が、俺の婚約者だって思うと、本当に嬉しくて、夢みたいです」

「シヴィー。泣いてるの?」

「はい。嬉しくて、幸せで」

「本当、シヴィーは可愛いね」

「ん」

「この騒ぎが落ち着いたら、僕達も結婚式を挙げようね。絶対に、幸せにするから」

「はい」

 再びノエルと唇を重ねて、シルヴェスターは瞼を閉じた。このまま、この幸せな時間が続けばいい。そう願いはするものの、その幸せを壊す存在が近付いている事を、今の二人は当然気付かなかった。

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