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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 それから、レナードさんとメイさんは正式に恋人同士になった。実はお互い一目惚れしていて、メイさんは大和兄さんにレナードさんの写真を撮ってほしいと依頼していたそうだ。大和兄さんは最初断ろうとしたが、魔獣討伐での協力やレアアイテムの提供をしてくれていた事もあり渋々メイさんの依頼を受けた。

 大和兄さんは一枚だけと言って、レナードさんの写真をメイさんに渡した。メイさんはそれを見て、嬉しくてつい大和兄さんに抱きついたそうだ。その光景を偶然レナードさんとリナちゃんが見て誤解された、と言うのが真相だ。メイさんも俺達と同じ異世界人で、大和兄さんとは大学からの付き合いだとか。だから、何かと関係があって今もそれが続いている。メイさんは幼い頃から植物が大好きで、異世界に来てもそれは変わらずどんなものでも愛情たっぷり注いで育てていたそうだ。普通の植物は勿論、冒険者達の間で危険だと言われている人喰い植物から、毒を持つ植物、触手のような植物まで手懐けていて大和兄さん曰く、メイさんは「無自覚天然サイコパス」らしい。

 更に驚くのは、メイさんは奇跡の雫を作れると言う事。大和兄さんがタッドさんに渡した奇跡の雫は、メイさんが作ったもので何時もお世話になっている大和兄さんにお礼として渡したものだったらしい。大和兄さんがチートなのは聞いていたけど、これメイさんも別の意味でチートじゃないかな?

「いや、彼奴の場合は植物に愛されすぎてヤバいだけだ」

「植物に愛され?」

 メイさんに不埒な事をしようものなら、周囲にある植物達が全力で阻止するらしい。実際、メイさんは何度か襲われそうになった事があるが、全て植物達が返り討ちにして一生外を歩けないような恥ずかしいお仕置きをされたとか。どんなお仕置きなの? と大和兄さんに聞いたら「知らない方がいい」と言われたので、俺はこれ以上何も聞かなかった。多分、あっち系のお仕置きをされたんだと思う。それも、もう女の人を抱けないような恥ずかしい事。詳しく知りたいとは思わない。

 大和兄さんは何度かそう言った場面に遭遇した事があって、その度に精神が削られて気分が悪くなったらしい。しかも、メイさんが無自覚に意地悪をするから、お仕置きされている人達は本当に可哀想だったとか。彼は良かれと思ってしているけど、その善意が空回りしていると言うか、余計なお世話と言うか、兎に角色々と凄かったらしい。

「これで誤解は解けたか?」

「う、うん。ありがとう。大和兄さん」

「俺も彼奴と恋人だなんて絶対に嫌だからな。早い内に誤解が解けて良かった」

「話はそれだけか? なら、もう良いだろう? 何時までエイトの頭を撫でている?」

「兄貴が弟の頭を撫でるのは普通だろう?」

「それは俺の役目だ。俺はエイトとの時間を大切にしたい」

「アンタには任せられないって言ってんじゃん。耳悪いの?」

 あぁ、また始まってしまった。本当、アーノルドさんと大和兄さんってどうしてこんなに仲が悪いんだろう? 俺の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、毎回こんな風に口喧嘩されると流石に気が滅入ってしまう。チョコとショコラも呆れ顔だし。でも、これでリナちゃんの恋は諦めなくていいから少し安心した。大和兄さんがリナちゃんの想いを受け入れるかどうかは分からないけど、やっぱり自分の気持ちを伝えてほしい。大和兄さんはちゃんと考えて返事をくれる筈だから。

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あきゅろす。
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