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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 リウビアはみんなに愛されてすくすくと育ち女の子らしくなった。まだ言葉は話せないけど、簡単な単語を発するようになった。満面の笑みを浮かべて両手を向けてくる姿は本当に可愛くて、みんなが抱っこしたがる程だった。リウビアは誰にでも心を開くようで、オズさんや颯太さん、リナちゃんやレナードさんが抱っこすると、キャッキャ笑ってはしゃいでいた。みんなから天使だと言われて、ちょっと誇らしい。

「何も心配する事はなかっただろう? エイト」

「……うん。最初は不安だったけど、俺、リウビアが可愛くて愛おしくて、すごく幸せなんだ」

「俺も幸せだよ。ずっと憧れていた神子と結婚できて、可愛い娘にも恵まれて。本当にありがとう。エイト」

「お礼が言いたいのは俺の方だよ。アーノルドさん、俺を助けてくれて、沢山愛してくれて、ありがとう」

 アーノルドさんに出会ってなかったら、俺はどうなっていたんだろう? きっと、今のような幸せは手に入れられなかったと思う。アーノルドさんと出会えたから、俺はオズさん達からも大切にされて、大和兄さんとも再会できた。ココアの孫にも出会えて、今が幸せすぎて時々怖くなる。こんなに幸せで良いのかなって。

「好きだよ。エイト」

「うん。俺も、大好き」

 チュッと触れるだけのキス。やっぱり、俺はアーノルドさんが好きだ。同じくらい、リウビアの事も大好き。今からすくすくと成長するのがとても楽しみ。アーノルドさんが更に過保護になりそうだけど、それでも良いかなって思う自分がいる。俺も、リウビアには幸せになってほしいから。

 王宮での生活は毎日が賑やかで騒がしくて、でも、とても楽しくて幸せだ。数ヶ月後に颯太さんも妊娠したって分かると、オズさんは大喜びしてリナちゃんと一緒に泣きながらお礼を言っていた。レナードさんと芽生さんも何時の間にか結婚する事が決まったみたいで、二人とも満面の笑みを浮かべて報告してくれた。大和兄さんだけは複雑な顔をしてたけど、とても喜ばしい事だから俺と颯太さんは素直に「おめでとう」と伝えた。

 リナちゃんと大和兄さんの関係はあまり変わっていないけど、少しずつ仲良くなってる感じはする。四年後、二人がどうなっているのかは分からない。でも、二人が結ばれたら良いなと密かに願っている。チョコとショコラも元気いっぱいだ。

 それに、遼太郎さんとシロガネさんも家族が増えると教えてくれた。産まれるのは颯太さんと大体同じ時期だと知ると、颯太さんは「お友達になれたら良いね」と笑った。なら、リウビアは二人のお姉ちゃんだね、なんて冗談を言ったら二人とも「弟をよろしくお願いします」って返されて、少し困惑した。

「エイトくん、笑うようになったね」

「うん。だって、すごく幸せだから」

 リウビアを抱きしめて断言する。あの世界に居たら、きっと俺は自殺してたと思う。大和兄さんの気持ちも知らずに、全てに絶望して命を絶っていたかもしれない。そう思うと、この世界に来て本当に良かった。だって、俺、颯太さんに言った通り、今がすごく幸せなんだもん。

 きっと、これから先も幸せだと思う。色々と問題は起こるかもしれないけど、俺はもうひとりじゃないから大丈夫。アーノルドさん達が居るから、みんなが俺を守ってくれるから、だから俺も、自分の出来る事をやりたい。俺も、オズさん達を助けたいから。

「エイトくんには何時も助けてもらっているよ」

「え?」

「うーん。やっぱり鈍感だね。ちょっと心配になっちゃうなあ」

「安心してください。ソウタ様。エイトは何があっても俺が守りますから」

「わ! アーノルドさん!?」

 何時の間に居たの!? 颯太さんが居るのにキスしないで! リウビアも居るのに! 恥ずかしくて顔が赤くなっちゃう! 颯太さんは優しく微笑んで「そうだね」と答えた。アーノルドさんにリウビアと一緒に抱きしめられた状態の俺は、彼にされるがままだ。ぅう。助けてリウビア。

「お前達はまた」

「お帰り。オズ」

「ソウタ。身体は大丈夫か? 痛みや吐き気はないか?」

「うん。お医者さんにも診てもらったから大丈夫。本当、心配性なんだから」

 なんだか、少し前の俺とアーノルドさんのやり取りに似ていて思わず笑ってしまう。颯太さんは苦笑しつつも幸せそうだ。オズさんも和やかな顔をしていて、すごく微笑ましい。俺が笑っていると、アーノルドさんにまたギュウッと抱きしめられて、二人からは「無防備だぞ!?」と謎の注意を受けた。リウビアは何が面白いのかキャッキャ笑っている。

「ふふ。幸せだなあ」

 言った瞬間、またアーノルドさんにキスされた。アーノルドさんは俺にキスするのが癖なのかな? キス魔と言っても過言じゃないと思う。リウビアを抱いているのにって言っても聞く耳持たず。でも、大好きな人に愛されているって分かるから、俺は大人しくアーノルドさんのキスを受け入れた。リナちゃんとレナードさんも来てたみたいで「エイト様! 無防備にも程があります!」と二人にまで注意された。大和兄さんまでやって来てアーノルドさんとまた喧嘩が始まった。

「騒がしいね。リウビア」

 笑いながら我が子に伝えると、リウビアは満面の笑みを浮かべて「あい!」と返事をしてくれた。ふふ。可愛い。二人で笑い合うと、突然周囲から「グハ!」と言う声が聞こえた。慌てて顔を上げると、何故か全員床に突っ伏していた。そんな彼らをチョコとショコラが前足でツンツン。可愛い、尊い、天使とブツブツ呟いていてちょっと怖い。リウビアの可愛さに耐えられなかったと聞いて、俺は彼女と一緒に声を出して笑った。



-end-
22.01.01

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あきゅろす。
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