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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 数日後、大和兄さんは元に戻ってしまった。何時も通りアーノルドさんに刺々しい言い方をして、俺とアーノルドさんが一緒に居ると必ず邪魔をしてくる。リウビアも大和兄さんに懐いていて、アーノルドさんは笑っているけど目が笑っていない。

「あの二人、またやってんのか」

「俺達は国に帰るって言うのに、大丈夫なのか?」

「あはは」

 アーノルドさんと大和兄さんは今日も元気に喧嘩をしている。遼太郎さんとシロガネさんは何時も通りの呆れ顔だ。二人にもすごくお世話になった。一応、何度か獣の国には帰っていたけど、リウビアが産まれるまではこの国に居てくれた。

 結婚式も終わって、リウビアも無事産まれたから、二人は獣の国に帰る事になった。何時迄も自国を放ったらかしには出来ないし、国民達が「早く帰ってきてほしい」とお願いされているからだ。今までサボっていた仕事を一気に片付けないといけないから、暫くは会えないらしい。

「落ち着いたら俺達の国に招待してやるよ」

「人間が嫌いな奴は多いが、神子なら大歓迎だ。楽しみにしててくれよ」

「はい」

 二人はオズさん達に挨拶を済ませた後、獣の国に帰って行った。暫く会えないけど、何時でも連絡をしていいと言ってくれた。大和兄さんとオズさんが協力して、この世界でも使えるスマホを開発してくれたからだ。画像や動画を撮ったり、連絡したりする機能しかないけど、それでもこの世界では最新技術だし、思い出を画像として残せるのは素晴らしい事だとオズさん達は大喜び。

 俺が持っていたスマホが役に立って良かった。でも、悪用される可能性もあるから、持つ事を許されているのは神子だけと言う話になった。暗証番号とか指紋認証とかも搭載済み。これで、遼太郎さんと何時でも連絡できるし、颯太さんや大和兄さんとも色んな情報を共有できる。メイさんにも渡してあるって聞いたから、レナードさんとの事も少しずつ聞いてみたい。

「二人とも帰っちゃったね」

 寂しくなるなあ。そう言って颯太さんは笑った。リナちゃんも少し泣きそうになっていた。連絡は取り合えるから、今生の別れじゃないし、獣の国が落ち着いたら招待してくれるって言ってたから、あまり寂しいとは思わない。

「ソウタ。あまり動き回るな。新しい命が宿っているんだから、部屋で寝ていろ」

「薬を使ったのは数日前だよ? まだ気が早いって」

「それでも心配なものは心配なんだ。身体を大事にしてくれ」

「過保護だなあ」

 苦笑しつつも、颯太さんは大人しくオズさんに抱き上げられて、部屋に戻された。二人の雰囲気はいつも以上に甘い。そっとお腹を撫でながら微笑む颯太さんは、やっぱりお母さんみたい。これからお母さんになるから、間違ってはいないけど、周囲に居る騎士や使用人達が頬をほんのりと赤く染めて「聖母様」と呟いている。俺の時と同じ反応で、ちょっと笑ってしまう。本当、この世界の人達は神子様が大好きなんだなあ。

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