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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
8
 どうやって二人を落ち着かせようかと俺が必死に考えていると、アーノルドさんが来てくれた。彼は俺を見ると優しく微笑んで抱き寄せて額に口付けてくれた。

「エイト。体は大丈夫?」

「うん。平気。お腹の中の赤ちゃんも元気だよ?」

 アーノルドさんは嬉しそうに笑って俺のお腹にそっと手を置いた。あれからまた数ヶ月経って、俺のお腹は少し大きくなっている。赤ちゃんがすくすく育ってくれている証拠だ。お医者さんにも診てもらっているから大丈夫。過保護だなあと思うけど、アーノルドさんに優しくされるのはすごく嬉しいから敢えて何も言わない。何時も大和兄さんが割り込んで来て二人でゆっくり出来なかったから、アーノルドさんとこうして触れ合って話し合えるのは本当に久しぶりだ。

「そう睨むな。レナード。君に客人だ。二人で話がしたいと言っていた」

「俺に?」

「レナードさん!」

「な! め、めめめ、メイ、さん!? な、何故、貴方が此処に!?」

「やっぱり、誤解してた。あのね、レナードさん。大和は僕の恋人じゃないよ? 彼をダーリンって呼んでるのは、同業者のパートナーって言う意味で、えっと、仕事仲間って言えば伝わる?」

「え?」

「それに、えっと、僕、本当に好きなのは、その……ぅう。恥ずかしい。レナードさん、二人っきりで話せませんか? 僕、レナードさんにどうしても伝えたい事があって……」

「も、ももも、勿論です! メイさん! す、直ぐに客室を用意しますので、少々お待ちを!」

「うん。突然来ちゃって、ごめんなさい」

「いいんです!」

 ガバッと立ち上がったレナードさんは、メイさんと一緒に客室へ向かった。レナードさんが言った通り、メイさんは凄く可愛くてぽあぽあした人だった。ふわふわの甘栗色の髪に、くりっとした大きな焦げ茶の瞳。丸い眼鏡をかけていて、少し大きめの服を着ていて仕草が本当に可愛い。女の子なの? って思うくらい可愛い。確かにあれは颯太さんとは違うけど、色々と危なっかしい。一人にしたら速攻で襲われそうだ。

「アレを好きとか理解できない。趣味わっる」

「大和兄さん!」

「君は相変わらず口が悪いな。ヤマト」

「事実を言ったまでだ。彼奴と恋人になりたいなんて気が狂ってるとしか思えない」

「メイさんって人、ぽあぽあしてて癒し系って感じだったけど?」

「見た目はな。彼奴と恋人なんて死んでもお断りだ。絶対に後悔するぞ?」

「メイは君の仲間だろう? 仲間は大切にしたらどうだ?」

「仲間じゃなくて腐れ縁。可能なら彼奴との縁を完全に断ち切りたい。彼奴のせいで俺がどれだけ大変な目に遭った事か」

 本当に嫌な思いをしたのか、大和兄さんの顔色が悪い。メイさんと何があったんだろう? それに、大和兄さんとメイさんは何時出会って、どれくらいの付き合いなんだろう? 恋人じゃないって事は友人? でも、大和兄さんは腐れ縁って言ってるし……うーん、謎だ。

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あきゅろす。
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