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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 リナちゃんの好きな人が誰なのか分かっちゃった。偶然知ったと言うか、その人と会うと何時も頬を赤く染めているから気付いてしまった。他の人達はまだ気付いていないけど、これはオズさんに報告すべきか否か。リナちゃんが隠しているから、言わない方がいいかもしれない。ただでさえオズさんはその人の事を敵視していると言うか、未だに根に持っているから。だから……

「リナが大和に恋をしている?」

「うん」

「おいおい。今更気付いたのかよ」

 遼太郎さんとシロガネさんに相談してみた。シロガネさんはチョコとショコラと戯れ合いながら「おっそ」と呟いた。遼太郎さんも確信はなかったものの薄々気付いていたみたい。しかし、二人とも浮かない顔をしている。その理由は勿論……

「よりにもよってあの完璧チートブラコン勇者様を好きになるとはな」

「前途多難な恋じゃねえか。オズにどうやって説明するんだ? 彼奴もヤマトに負けず劣らずのしすこん? ってヤツだぞ?」

 そう、そうなのだ。オズさんは颯太さんを心から愛しているのは勿論、リナちゃんの事もとても大切にしている。颯太さんへの愛で分かりにくいけど、彼も大和兄さんと同じくらいリナちゃんに対して過保護だ。所謂シスコン。そりゃ、あんなに可愛くて立派で何時も一生懸命な妹が居たら過保護になるよね。ただでさえ結婚する相手への条件が厳しいのに、それが大和兄さんだと知ったらオズさんはどんな反応をするのか。想像するだけで恐ろしい。

「オズさんも厄介なんだけど、一番厄介なのは大和兄さんで、多くの女性を虜にしてるって言う自覚がなくて……」

「あー、お前一筋って感じだもんな」

「子どもが産まれたら益々過保護が加速しそうだな」

「アーノルドさんが居るから大丈夫って言ったんだけど、逆効果で……」

 二人は「あぁ」と言って同情するような目で俺を見た。前の世界では兄貴らしい事をしてやれなかったから、これからは兄としてお前を守る、と真顔で言われてしまった。大和兄さんの気遣いは嬉しいけど、リナちゃんの気持ちを考えるとちょっと複雑だ。

「リナもリナで、最初から諦めている感じだしな」

「恋した瞬間に失恋を三度も経験してんだ。そりゃ、諦めたくなるだろうよ」

「え?」

「は?」

 リナちゃんが、失恋? しかも恋した瞬間に失恋? それを、三回も経験してる? どう言う事!? 初耳なんですけど!? ちょっとシロガネさん、そのあたりもっと詳しく!

「お前ら神子ってのはたまに残酷だよな」

「おい、何一人納得してやがる? リナを泣かせたバカを教えやがれ。バカ犬」

「シロガネさん、お願いします! 教えてください!」

「言える訳ねえだろ! 知りたかったらリナに直接聞きやがれ!」

 それが出来ないから聞いているのに。シロガネさんは最後まで教えてくれなかった。遼太郎さんに脅されても言わなかった。でも、リナちゃんが恋をした人に関する事は少しだけ教えてくれた。リナちゃんが好きになった人は既に別の誰かを好きだったり、好きだと自覚した途端既婚者だと知って諦めたりしたそうだ。他者の幸せを壊してまで結ばれたいとは思わないから、全部諦めたそうだ。リナちゃん、本当にいい子! なんでこんなにいい子が切ない思いをしてるんだよ! 相手は一体誰なんだ!

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あきゅろす。
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