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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
6
 目が覚めたのは翌日の昼過ぎだった。大和さんが運んでくれたのか、俺はふかふかのベッドに居た。まだ眠いのを我慢して起き上がってリビングへ向かう。

「起きて大丈夫?」

「うん。まだ眠いけど」

「なら、まだ休んでいた方がいい。お腹の中にいる赤ちゃんの為にも」

「そう、だね。えっと、大和兄さんは、これからお仕事?」

「……まあ、そんなところ。念の為、此処には結界を張っておくから安心して」

「うん」

 外には出るなよ。そう言い残して大和さんは出掛けてしまった。テーブルを見ると置き手紙があった。大和さんが居ない間、チョコとショコラの世話をしてほしい事と、お腹が空いたら冷蔵庫の中から好きなものを選んで食べていい事、お腹を冷やさない事、無茶をしない事。

「オズさんみたい」

 手紙の内容が、オズさんからもらった手紙とそっくりで、思わずクスリと笑ってしまう。大和さんがこんなにも家族思いの人だとは思わなかった。優しくて、格好よくて、頼りになって、傍に居ると安心する。アーノルドさんへの想いは恋愛だけど、大和さんへの思いは家族愛。大和さんも、家族愛以上の思いは抱いてないと思う。

「ワン!」

「クゥン、クゥン」

「う、わ! チョコ? ショコラ? どうしたの?」

 考え事をしているとチョコとショコラに服を引っ張られた。可愛い円らな瞳を見るとチョコは仰向けになって、ショコラは頭を擦り付けてきた。撫でてほしいのかな? そう考えて撫でてあげると、すごく喜んでくれた。甘えん坊だなぁ。可愛い。

「大和さん、お仕事なんだって。何時帰って来るかなぁ」

 トテトテと俺の後を付いて来るチョコとショコラ。すごく仲が良くて、俺の足元で戯れ合っている。大和さんは最初、ショコラだけ引き取るつもりだったらしい。でも、老夫婦の近所でも柴犬を飼っているお家があって、そのわんちゃんが産んだ子犬とショコラがすごく仲が良くて、その子犬もショコラと一緒に大和さんが引き取った。

 それがチョコ。ちょっぴり怖がりで甘えん坊な男の子。ショコラは好奇心旺盛で元気いっぱいな女の子。ココアの孫なだけあって、顔つきとか表情とか仕草がココアに似ている。

「一緒にお留守番しようね。チョコ。ショコラ」

 頭を撫でると元気に「ワン!」と返事をしてくれた。うん。賢いわんちゃん達だ。

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