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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 色々と難しい事を言っていたけど、簡単に言うと少女漫画によくありがちな「お前は〇〇様に相応しくない」と言うヤツ。ライバルが登場して「〇〇様にはこの私こそが相応しい!」と主人公に宣戦布告する少女漫画の定番と言うか王道展開? の台詞をおじいさんに言われた。アーノルドさんと離婚してほしいって。

 当然俺は断った。だって、このおじいさんの言ってる事は無茶苦茶なんだもん。お嬢様はアーノルドさんに助けられた事があって、それからずっとアーノルドさんに恋をしているって俺に言われても困るんだけど? アーノルドさんは孤児院出身で、由緒正しい侯爵家の血筋に孤児の血を混ぜる訳にはいかないとか。でも、今回の件でアーノルドさんは侯爵と言う地位を得て、国王であるオズさんの護衛騎士を務める事になるから将来も安泰。これならば、お嬢様の結婚相手として相応しい、とか何とか。

 は? と言いたかった。だって、おじいさんが見ているのはアーノルドさんじゃなくて、アーノルドさんのステータスだけ。孤児だから諦めていたとか、侯爵になるから結婚を認めるとか、勝手な事を言うなって思った。それに、おじいさんが仕えているお嬢様がアーノルドさんの事を本当に好きなのか分からないし、そう言うのはアーノルドさんとお嬢様も交えて話すべきだと思う。誤解があったらいけないし。

 だから「それはアーノルドさんとお嬢様が決める事であって貴方が決める事じゃない。離婚もしない」って言ったら、森へポイ! ですよ。しかも、その時おじいさんが何て言ったと思います?

「アーノルド様の為に何ができると言うんです? 勉強も出来ず、剣も魔法も使えず、子も産めない役立たずが彼の傍に居たって迷惑なだけですよ」

 だ、そうです。俺、お腹の中に赤ちゃんいるのに、伝えようとしたのに。俺の話を聞く前に森に捨てやがったんだよ! あんのクソジジイ! しかもアーノルドさんと一緒に選んだ指輪まで奪いやがって! あぁああああああ! 腹が立つぅうううううう! あのクソジジイ今度会ったらぶん殴ってやりたい!

「強くなったな。瑛都」

「え?」

「少し前だったら、言う通りにしてただろ?」

「……うん。でも、俺のお腹の中に赤ちゃんがいるから、諦めたくない。少しだけ、そうした方がいいかもしれないって思ったけど、俺はアーノルドさんを信じてる」

「そうか」

 大きな手で頭を撫でられる。大和さんは「もし、アーノルドって奴に捨てられたら、俺が瑛都と赤ちゃんの面倒を見るから」と言ってくれた。アーノルドさんが俺を捨てるなんて考えられないけど、もしそうなった場合、俺は一人で子どもを産む勇気も、育てる自信もなかったから、大和さんの言葉は素直に嬉しかった。

「大和兄さん、その、ありがとう」

 お礼を言うと、大和さんは「家族なんだから、助けるのは当然だろ?」と言って微笑んだ。昔から思ってた事だけど、大和さんって本当イケメンなんだよな。こう言うの、スパダリって言うんだっけ? こんな事をされたら女の子はみんな大和さんを好きになっちゃうだろうな。彼女が居たとか好きな人とか、全く聞いた事がないけど……

「今日は疲れただろう? ゆっくり休んで。身体、大切にして」

「うん。安心したら、眠くなってきた」

 思っていた以上に、俺は疲れていたらしい。やっと落ち着けると思ったら、ふっと力が抜けて眠くなる。うとうとし始めるともう駄目で、俺は直ぐに深い眠りに就いた。

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