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くっころ騎士団長様を救出せよ!《完結》
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 大和さんの話を聞いた後、今度は俺が話をする事になった。ずっとショコラが甘えてきて話を止められたけど、何とか全部話せたと思う。

「つまり、アーノルドにはお前よりもお嬢様の方が相応しいって言われて捨てられたって事?」

「そう、です。あ、でも、命令された人は『神子を殺す事なんてできない』って言って見逃してくれたよ? 今戻ると危険だから、勇者様に相談してはどうか、って提案してくれて」

「それで、此処に辿り着いたのか?」

「……うん」

「そのアーノルドって言う奴が捨てた可能性は?」

「ないよ! そんなの、ある訳ない! だって、アーノルドさんは初めて会った時から俺の事を守ってくれて、何時も優しくて、沢山甘やかしてくれて、指輪だって、一緒に、選んだのに……」

 今は何も嵌められていない左手の薬指あたりをそっと撫でる。指輪を購入してからずっと身に付けていたから、指輪をしていた痕がまだ残っている。その指輪も、奪われてしまった。思い出すと、本当に悔しくて腹が立って、大声で叫びそうになる。

 もう直ぐ式典なのに、こんな大変な時に居なくなってしまって、アーノルドさん達に申し訳なく思う。オズさんと颯太さんは王宮を訪れた貴族の対応をしなきゃいけないし、オズさんの護衛騎士になったアーノルドさんも当然忙しいし、リナちゃんやレナードさんも王宮の中を行ったり来たりしていた。遼太郎さんとシロガネさんも、使用人や騎士達に指示を出していたから、声をかけられなかった。

 式典では、オズさんと颯太さんのお披露目をするのは当たり前だけど、オズさんの護衛騎士になったアーノルドさんも俺と一緒にお披露目をしなければならなかった。俺がアーノルドさんと結婚しているからだ。礼儀作法、挨拶、マナー、姿勢、食事などなど、短期間で王族としての立ち振る舞いを徹底的に叩き込まれた。颯太さんも一緒だったから何とか耐えられたけど、俺一人だったら逃げ出していたと思う。

 そもそも、俺は王族とか関係ないじゃん、って気楽に考えていた。式典ではアーノルドさんに爵位と名前、えっとファミリーネーム? が授与されるそうだ。与えられる名前はグランディ、そして爵位は何と侯爵。爵位の中では二番目に偉いらしい。貴族階級ってよく分からない。

 アーノルドさんが大出世するから、俺も礼儀作法やらテーブルマナーやら挨拶の仕方やらを勉強しなければならなかった。アーノルドさんの顔に泥を塗るような事をしてはならないから。俺が失敗すると、アーノルドさんの評価まで下がってしまう。だから俺は必死に勉強して沢山練習もした。俺よりも颯太さんの方が大変そうだった。颯太さん、王妃様になるもんな。

 式典ギリギリで、俺と颯太さんは何とか外に出ても恥ずかしくない出来に仕上がった。とは言っても本当に必要最低限、だけど。後は、二人で練習して式典の流れを最終確認して、当日になるのを待つだけ、と言う時に、俺は突然捨てられた。他国の侯爵令嬢の従者と名乗るおじいさんの手によって……

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